お店のミライ

ドンキ運営会社が「マシュマロ構想」を発表 マーケティングで“脱・自前主義”外部とのコラボを加速

» 2019年10月17日 17時01分 公開
[昆清徳ITmedia]

 大手ディスカウントストア「ドン・キホーテ」などを運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)は、小売業の新たな時代に対応するための「マシュマロ構想」を発表した。

photo マシュマロ構想のロゴ

 マシュマロ構想とは、白くて柔らかいマシュマロのように、PPIHのカラーに染まっていない外部の価値観を柔軟に受け入れることを意味する。同社は、「ドン・キホーテ」という業態を中心に成長してきた。しかし、お客が過去とは比較にならないほど多くの手段によって情報を入手するようになったと分析。さらに、シェアリング、サブスクリプション、コンシューマー向けマーケットプレースなど新しい消費スタイルを経験するようになったことから、従来のマーケティング手法にとどまらない革新的な取り組みが不可欠となっていると判断した。

 そこで、PPIHの完全子会社となる「株式会社マシュマロ」(東京都目黒区)を設立。PPIHグループと最新テクノロジーの橋渡し役として、オープンイノベーションを推進し、外部のあらゆるリソースを活用するとした。具体的には、「プライシングの最適化」「消費者ニーズ分析」「新たな金融サービス」などを想定している。

外部とのコラボを加速

 PPIHはマシュマロ構想と同時に4つのプロジェクトを発表した。

 1つ目は「グリーン・マシュマロ」。オンラインとオフラインの垣根を超えた新たなマーケティングソリューションの創造を目指す。具体的には、インフルエンサーマーケティングなどに強みを持つ「FISM」(東京都渋谷区)と、デジタル領域において資本・業務提携を締結した。SNS上の嗜好性と購買行動を解析し、お客と店舗の結びつきを強くする施策を展開する。FISMのクライアント企業には、化粧品、食品、日用品などのメーカーが多く、これまでもPPIHの店舗で販売する商品のプロモーション施策を手掛けていたという。PPIHグループのITスタートアップ投資としては初めての案件だ。

 2つ目は「ブルー・マシュマロ」。PPIHとして初めてAIの技術を導入し、グループの商品施策を「勘と経験と度胸」×「データで科学する」という方向に変える。プライシングの最適化や、回転率の効率化を図るとしている。

 3つ目は「イエローマシュマロ」。これは、10代限定のPPIHグループに対する諮問委員会。既にインターンシップを実施し、10代ならではの視点で店舗や商品に関する提案を受けたという。

 4つ目は「パープル・マシュマロ」。国内外のさまざまなスタートアップとの協業を目指す。革新的な技術やアイデアを持つスタートアップを支援している「Plug and Play Japan」(東京都渋谷区)と「Brand&Retail」および「Fintech」分野で「エリート・パートナーシップ契約」を締結した。

 また、PPIHは外部の専門家から意見を聞く「マシュマロアドバイザリーボード」を新設。さらに、株式会社マシュマロの幹部候補者も公募するとした。

 PPIHはデジタルマーケティングや、スタートアップとの連携を強化することで、新たな成長ステージに入ることを狙うようだ。

 ちなみに、同社のリリースによると「マシュマロという命名に深い意味はありません」という。

photo ドン・キホーテとユニーのダブルネーム店舗「MEGAドン・キホーテUNY大口店」

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.