毎日50億点以上の商品をチェック Amazonが“ニセ商品”撲滅に向けサービス開始これまでに9000万点を削除

» 2019年10月10日 11時10分 公開
[鬼頭勇大ITmedia]

 Amazonは10月9日、法人向けサービス「Project Zero」の提供を日本で始めた。商品情報の解析などを通し、偽造品と思われる商品を撲滅していく狙いがある。既に米国や欧州で提供されており、日本でもパナソニックや任天堂などが試験的に導入している。Amazonの発表によると、約6000のブランドがサービスに登録。これまでに偽造品と思われる商品を9000万点以上、ユーザーが閲覧する前に削除できたという。

利用は現在招待制(出所:Amazon公式Webサイト)

 Project Zeroでは、Amazonの有するテクノロジーと、利用企業の知的財産権に関する情報から偽造品を識別していく。具体的には、2つの機能を有している。

 1つ目が、「自動プロテクション機能」だ。企業側から文字やロゴといった商標情報を提供し、Amazonの機械学習アルゴリズムに組み込む。そして、世界中で毎日50億件以上更新されるという商品情報を自動的にスキャン。ユーザーが閲覧する前に削除していく。

 2つ目が、企業側から商品の削除ができる機能だ。登録した企業は、偽造品と思われる商品を発見した場合、即座に削除できるようになる。削除した商品の情報はAmazonへもフィードバックされ、自動プロテクション機能が強化されるという。

 自動プロテクション機能と、自発的な削除については無料で利用できる。加えて、今後は有料オプション機能の提供を検討している。20年には、シリアルコードを用いたサービスを追加する。企業が商品の製造や発送の工程でシリアルコードを発行。コードから商品を1つ1つ識別できるため、既に導入している企業からは好評を博しているという。

 Project Zeroを利用する流れはこうだ。公式Webサイトから企業やブランド情報などを入力して申請。登録可能になり次第、通知が来るという。また、対象となる商品はマーケットプレイスを含む全ての商品。偽造品を発見した後の再発防止策については「偽造品の出品はそもそも規約違反。発見次第、内容に応じて出品停止などのペナルティーを課していく」と担当者。

 Amazonはこれまでも機械学習の活用や企業側の協力を基に、偽造品の対策に注力してきた。詳しい被害額や偽造品の傾向については明かさなかったが、自発的に偽造品を摘発するProject Zeroの展開を機に、さらに対策を推し進めたいとしている。

試験利用している企業のコメント(出所:Amazon公式Webサイト)

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