Zホールディングス、証券業への参入意図なし AIの時代、個別銘柄を選ぶ人は増えない

» 2019年10月10日 12時45分 公開
[斎藤健二ITmedia]

 ヤフーを傘下に持つZホールディングス(ZHD)の川邊健太郎社長は、10日のSBIホールディングスとの提携発表にて、証券業への参入意図がないことを明らかにした。

 「(個別銘柄の売買は)国内市場での勝負がSBIグループに決しつつある中で、対抗事業をやっていく必要があるのか。ほかのオンライン証券も大きいので、それらと組んで利便性を高めていったほうがいい」(川邊氏)

Zホールディングス(ZHD)の川邊健太郎社長

 ZHDは、メディア、コマース、データに並ぶ、今後の成長を牽引する重要テーマとして金融を挙げている。金融事業を統括するZフィナンシャルを設立し、事業拡大を目指す。

 証券業には、LINEが野村ホールディングスと組んで8月に参入するなど、スマホ時代を見据えて異業種からの参入が進んでいる(記事参照)。

 それらと直接競合する事業に参入するよりも、異なる商品に勝機があると見る。「証券への参入は、ずっと議論は続けている。現時点での考えは、これから個別銘柄を人が判断して買っていくのが増えていくのか、AIを使った投資信託が増えるのかというと、後者だということ」(川邊氏)

Zホールディングス傘下に、ヤフーや、金融事業を統括する持株会社であるZフィナンシャルが置かれる

 背景には、ヤフーが運営する国内最大級の金融ファイナンスメディアであるYahoo!ファイナンスの存在がある。メディアとしての中立性を損なうことなく、さまざまな金融機関と連携していくことを示唆した。

 「(ユーザーに)多くの金融サービスの選択肢を提供したい。中核はYahoo!ファイナンスというメディアにある。(今回の提携先であるSBIのサービスだけでなく)さまざまな金融機関のサービスも提供して、ユーザーにマッチするサービスを提供していきたい。多くの選択肢を示すことで中立だと思ってもらえる」(川邊氏)

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