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幕張メッセで“釣りロボ”遠隔操作 大分県でタイを釣ってみたCEATEC 2019

» 2019年10月15日 13時01分 公開
[片渕陽平ITmedia]

 大分県の釣り堀に設置されたロボットを遠隔操作し、タイを釣り上げる──ANAホールディングスは、そんな体験ができるブースを、家電とIoT機器の見本市「CEATEC 2019」(10月15〜18日、千葉・幕張メッセ)に出展している。ブースにある釣り竿風のコントローラーを操作すると、ロボットがその通りに竿を動かし、人の代わりに魚を釣ってくれる仕組みだ。

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 ブースにあるコントローラーは、グリップとリールで構成されており、ロッドの部分は短い。来場者がコントローラー側の竿を振ったりリールを巻いたりすると、搭載するセンサーが力の強さや角度を検知。釣り堀側のロボットと通信し、竿の動きをリアルタイムで反映する。

 釣り堀側のロボットは、魚に釣り糸を引っ張られるときの強さや竿の角度の変化を検知し、ブース側のコントローラーにフィードバックする。リールの内部にはモーターが備わっており、当たりの強さや魚の引きによる抵抗を再現する。

 釣り堀にはカメラとマイクも設置してあり、ブース側のスクリーンとスピーカーを通して映像と音声を伝える。こうした仕組みにより、遠隔地にいながら釣りの臨場感を味わえる。

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 実際に体験してみると、釣り堀側のロボットが細かな振動を伝えてくれるため、釣りの経験があまりない記者でも魚の当たりがが分かるほどだった。リールを巻き上げていくと徐々に魚影が見え、糸を強く引かれて思わず慌ててしまう一幕もあったが、何とかタイを釣り上げることができた。現地で釣りをしている感覚を疑似体験でき、幕張メッセにいることを忘れてヒートアップしてしまった。

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 開発に協力したロボットベンチャー、Re-alの新明脩平社長は「魚の当たりや引きによる抵抗を、インターネットを介してモーターの『回転しにくさ』で再現している。情報量が多くないため、さほど遅延はない」と自信を見せる。

 新明社長は「触覚を伝える技術は、遠隔で手術する医療ロボットなどで採用されている。縫合など糸を扱う動作と親和性が高いことは分かっていたので、釣りに応用した」という。ゆくゆくは、釣った魚が翌日には自宅に届くサービスも検討する。

 ANAホールディングスは、遠隔操作に対応したコミュニケーションロボット「newme」(ニューミー)を発表するなど、物理的な距離を越えたサービスの創出に注力している。CEATECの会場では、遠隔操作で調理を行うロボットなども展示している。

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