「テーマは命」 渡邉美樹氏がワタミ代表に復帰 “目玉政策”は被災地に開く農業テーマパーク21年3月オープンへ

» 2019年10月08日 10時08分 公開
[鬼頭勇大ITmedia]

 「政治家としては0点だったと思っている」――。10月7日に開かれた記者会見で、ワタミの代表取締役に復帰した渡邉美樹氏はこう話した。2013年に参議院選挙へ立候補し、任期6年を経て、19年に退任。在任中は原発政策や労働人口の減少、財政政策に関する訴えを続けてきたが、「何も実現できなかった」と振り返った。

 苦い6年だったが、新たなビジネスの着想も得られた。それが、岩手県陸前高田市に開設する観光施設「ワタミオーガニックランド」だ。敷地面積はおよそ23ヘクタールで、東京ドーム5個分に匹敵するという。「農業テーマパーク」というコンセプトを掲げ、農作物の生産、加工食品の販売、宿泊施設の運営や農業体験の提供といった6次産業モデルを展開する。21年の開業を目指し、年間来場者数は35万人を見込んでいる。「国会は税と法律と予算で国を変える。企業は、経営モデルで国を変えることができる」と渡邉氏。

21年3月のオープンを目指す

 東日本大震災で被害の大きかった陸前高田市にオープンすることで、国内外に復興をアピールする狙いもある。渡邉氏は、11年から同市の参与を務めている。これまで、ワタミのコールセンターを開設したり、イベントを開催したりと復興に寄与してきた。その一方で、まだまだ復興は不十分だと考えている。今回のオーガニックランドでは、観光客を呼び込むだけでなく、地元の雇用機会充実も狙っている。

 「テーマは命」と渡邉氏は説明する。特別な土地で農業や畜産業、林業などにかかわることで、訪れた人が命の大切さや自然の広大さを学べるような作りにする。現在、ワタミは全国11カ所に自社の直営農場や牧場を展開。また、風力発電やバイオマス発電事業も手掛けている。こうしたノウハウを全て結集し、循環型6次産業モデルの確立とともに地方創生に役立てたい考えだ。

 盛り土や土地整備などハード面の復興は進むが、ソフト面ではまだまだ課題も多いとされる被災地。「被災以前は一等地」(渡邉氏)とされる場所にオープンするオーガニックランドにより、陸前高田市は往時の勢いを取り戻すことができるだろうか。

完成後のイメージ図

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