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“揚げ物税”で社員の健康は改善できるか ヤフーの社食戦略

» 2019年10月08日 14時49分 公開
[村田朱梨ITmedia]

 ヤフーは10月8日、社員食堂のランチで揚げ物料理の一部を値上げする「揚げ物税」という取り組みを始めた。チキン南蛮やとんかつなどの定食を100円値上げする代わりに、焼き魚定食や煮魚定食を150円値引きする。脂質の多い揚げ物ではなく、コレステロールを減らす働きのある成分を含む魚料理を食べる人を増やすことで、社員の健康増進を支援する狙い。

photo 「揚げ物税」の対象となるチキン南蛮。もともと591円で提供していたものが、691円に値上げされる
photo 「揚げ物税」と「お魚還元」の仕組み

 同社では以前から、社員の健康に投資することで自社の生産性などを高める「健康経営」に取り組んでおり、社員食堂の運営にも力を入れている。近年は、料理を盛る皿にICチップを貼り付けて社食のデータを集計・分析し、メニューに生かすといった取り組みを行っていたが、ランチの人気メニューは肉の揚げ物が中心で、脂質を取り過ぎている社員の多さが課題となっていた。

 揚げ物人気の裏には「魚は肉よりも原価が高く、価格を重視する層からの支持を得にくい」という問題もあったことから、消費増税に合わせ、揚げ物を増額した分を財源に魚料理の値段を下げることにしたという。

photo 鯖の味噌煮は693円から543円に値下げ
photo 社員食堂のメニューは日替わり。入り口のデジタルサイネージで「揚げ物税」の対象も分かるようになっている

 社員食堂の責任者である沼田瑞木さん(ピープル・デベロップメント統括本部 オフィス・経営支援本部 コラボレーション推進部 リーダー)は「社員が健康であることは、パフォーマンスの向上、ひいては生産性の向上につながる。まずはランチで魚を食べる機会を増やし、社員ひとりひとりが自分で栄養バランスなどを考えて食事をするようになってほしい」と話す。

 揚げ物税は当面の間実施を続け、社員の健康診断の結果などを通じて効果を測定する計画だ。効果があれば、同様の取り組みを他社に広げることも検討する。

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