再開発が加速する東京。目まぐるしく時代が移り変わっても、ずっと残ってきたものにはどんな背景があるだろうか。ときには姿を変え、ときには古いものを守りながら、新しい時代を迎えた街や建物のストーリーと、将来への戦略を探る。
国内外から多くの観光客が訪れる東京・浅草。その周辺から、ゆったりと流れる隅田川に目を向けると、対岸には東京スカイツリーが見える。そして、よく目立つビルが目に飛び込んでくる。ビールジョッキをイメージさせるアサヒグループ本社ビルと、巨大なオブジェが載ったホール棟だ。
隅田川のほとり、吾妻橋の東側にそびえたつビルが完成したのは1989年11月。それから30年、ランドマークとしてたくさんの人の目を楽しませてきた。2012年には東京スカイツリーが開業。吾妻橋には、アサヒのビルとスカイツリーを一緒に写真に収めようと、カメラを構える人の姿が絶えない。
なぜこのような建物ができたのか。その背景や位置付けについて、アサヒグループホールディングス(GHD)に聞いた。
ビールをイメージした外観のアサヒグループ本社ビル。その特徴的な色の正体は、琥珀色のハーフミラーガラスだ。だから、外から見ると金色だが、ビルの中からは普通のガラス窓のように外が見える。レストランになっている21階と22階だけは白い外装で、もこもことしたビールの泡を表している。この“巨大ジョッキ”にビールを注ぐと、「アサヒスーパードライ」の大瓶で約2億本入るという。
ビルの高さは100メートル。なぜ100メートルなのかというと、このビルがアサヒビール(現アサヒGHD)の創業100周年を記念して建てられたものだからだ。
ビル建設当時に時代をさかのぼると、実はこの頃は、会社を取り巻く状況が激変しつつある時期だった。大きな変化を迎える中で、あの建物は誕生したのだ。
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