コインチェックの仮想通貨流出事件から約2年。2019年7月には、ビットポイントから30億円分の仮想通貨が流出するなど、取引所からの仮想通貨流出は止まらない。資産の盗難という被害以外にも、問題となることがある。犯罪組織の資金源として使われる可能性だ。
「過去2年間で、世界中の取引所から1200億円近くの資産が盗まれている。こういうお金がどこにいくかというと、アンダーグラウンドに持っていって洗浄して使われる」
こう話すのは、仮想通貨取引のマネロン対策を支援するスタートアップ、Bassetの竹井悠人CEOだ。
金融犯罪でしばしば聞くマネーロンダリング(マネロン)。これはいったいどういうものなのか。日本語では資金洗浄とも呼ばれ、そのままでは使えない汚れたお金を、自由に使えるキレイなお金に変えるために、犯罪組織が行うものだ。
竹井氏によると、マネロンには3つのステップがある。最初は、違法な盗んだお金などを、キレイにみせかけるために銀行などに預ける。これをプレースメントと呼ぶ。ただし、「この状態だとまだ汚れた資金。銀行の監視カメラなどを使えば犯人が分かってしまう」(竹井氏)
そこで、複数の銀行間で送金を重ねたり、国をまたいで送金してしまう。送金を重ねるほど、警察は追跡が難しくなる。さらに国際送金を行えば、警察の管轄も異なるため、さらに捜査は難しくなる。これが2つ目のステップ、レイヤリングだ。
最終的に痕跡が分かりにくくなったお金をどこかの口座に集約し、これを不動産や骨董品など、価値が分かりやすいものに形を変える。これが最終段階のインテグレーションになる。
こうしたマネロンを避けるため、国際送金には厳しいチェックが入り、違法なお金の動きがないかをチェックする仕組みが作り上げられてきた。ところが、こうしたマネロン対策=アンチ・マネーロンダリング(AML)の途上にあるのが仮想通貨だ。
仮想通貨は、そもそもが仮想通貨のアドレスに紐付いているものなので、プレースメントは完了している。さらに、仕組み上銀行などを介さずに自由に送金が可能だ。国際送金という区分けもなく、世界中のどこへでもすぐに送金できる。
こうした特徴を持つ仮想通貨で、いかにマネロンを防ぐか。そのためのツールを開発しているのがBassetだ。
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