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沖縄でIT識者が激論! どうする、どうなる、IT後進国ニッポン長谷川秀樹の「IT酒場放浪記」in 沖縄(1/3 ページ)

» 2019年09月18日 08時00分 公開
[酒井真弓ITmedia]

 メルカリのCIO(最高情報責任者)を務める長谷川秀樹氏が、志高きゲームチェンジャーと酒を酌み交わしながら語り合う本対談。ついに東京を飛び出し、沖縄にやってまいりました。ゲストは、日清食品ホールディングスCIOの喜多羅滋夫氏、フジテックCIOの友岡賢二氏、パラレルマーケターの小島英揮氏、クラウドネイティブCEOの齊藤愼仁氏、沖縄在住のサイオンコミュニケーションズ米須渉氏です。

 「個の時代」のキャリア戦略を聞いた前編に続き、後編では、「地方で働くということ」に端を発し、沖縄と米軍基地のこと、そして日本が抱える「イノベーションのジレンマ」について語ります。

Photo IT酒場放浪記 夏休みスペシャルの参加メンバー。左からパラレルマーケターの小島英揮氏、メルカリCIOの長谷川秀樹氏、日清食品HD CIOの喜多羅滋夫氏、フジテックCIOの友岡賢二氏

東京を出て、地方で働くメリットはあるのか

長谷川: 僕の地元は三重なんだけど、三重は三重大学を出て、中部電力か百五銀行に行ったらエリートなんですよ。東京に出ていこうとする人が少ない。東京が全てってわけじゃないけど、「東京行って、一旗、揚げたろか」ってのを実行に移す人が少ないというか……

小島: 長谷川さんの言う“東京”は、外の世界のアイコンでしょ? つまり、「外の世界に出よう」とする人が少ない。

齊藤: 僕は、長野育ちなんだけど、ずっとドラゴンクエスト(ゲーム)をやっていて、東京の存在を気にもしていなかったし、渋谷も知らなかったよ。長野は一般的に教育県といわれていて、地元で良い教育を受けて、セイコーに行くというのが成功モデルかな。

喜多羅: 地方の課題は、東京に比べて仕事の絶対数が少ないことじゃないかな。東京の強さは、小さいことでも、よく分からない肩書でも仕事になるところ。新しい仕事がどんどん生まれ、会社になって、それなりの市場になったりして多様性があるよね。

 地方は、仕事として確立されていないものは切り捨てられがちで、なかなか仕事のカテゴリーに入ってこない。一度、東京へ出てきた人が地方へ戻り、「そういうビジネスがある」というのを地方でも実現できるようになれば、少なくともあんな通勤地獄で苦労せず、良いキャリアが積めるんじゃないかな。

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齊藤: でも、いくら地方自治体が呼びかけたとしても、個人が東京を出て地方に戻るメリットってあるんですかね?

小島: 東京でもらっているのと同じ金額を、地方で雇われてもらうのは難しいよね。

齊藤: それもそうだし、例えばの話、Uターン、Iターンを期待して沖縄が給与水準を2倍にしたらみんなどうするの? それこそ、沖縄から出て行っちゃうんじゃないかって。

喜多羅: 高い給与をもらえる人が、働く場所として沖縄を選ぶのかってこと?

齊藤: そう。一瞬、沖縄で働いたとしても、「俺、こんなにできるんだったら、もっと行けるんじゃね」と考えて、沖縄をどんどん出て行くんじゃないかなって。

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