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Appleが「iOS 12.1.4」で対処した脆弱性の詳細をGoogleが明らかに iPhoneへの無差別攻撃に長年悪用されていた

» 2019年09月01日 07時30分 公開
[佐藤由紀子ITmedia]

 米Googleの脆弱性調査プロジェクト「Project Zero」は8月29日(現地時間)、米Appleに2月1日に報告し、Appleが2月7日にiOS 12.1.4のアップデートで対処したエクスプロイト(OSの脆弱性を攻撃するプログラム)の詳細を説明した。

 このエクスプロイトは、iOS 10〜iOS 12までのほぼすべてのバージョンをカバーし、少なくとも過去2年間使われていたという。

 Project Zeroは今年の初めに、複数のWebサイトがハッキングされ、それらのWebサイトを訪問するiPhoneユーザーを無差別に攻撃していることを発見。これらのWebサイトには週当たり数千人が訪問している。

 iPhoneでこれらのサイトを訪問するだけで、エクスプロイトがiPhoneを攻撃し、成功すると監視プログラムをiPhoneにインストールする。

 この監視プログラムの目的は、端末内のファイルと、リアルタイム位置情報の収集だ。パスワードを管理する「キーチェーン」、エンドツーエンドで暗号化されているメッセージングアプリの「iMessage」「Telegram」「WhatsApp」のデータベースなどにアクセスできる。

 これらのメッセージングアプリの内容は暗号化されているため、通信を傍受されても解読されないが、端末自体が侵害されればメッセージの内容が読まれてしまう。Project Zeroはそれを示す画像も紹介した。

 zero 1 iMessageの画面(左)と、監視プログラムが盗んだファイルの内容(右)。スクリーンショットは、iOS 12搭載の「iPhone 8」のもの

 この監視プログラムは、端末を再起動すれば消去されるが、再起動するまでにパスワードや位置情報を盗まれる恐れがある。

 Project Zeroが発見したエクスプロイトは5つ。のべ14の脆弱性(Safariの7つ、カーネルの2つ、サンドボックスエスケープが2つ)を利用するものだった。Project Zeroは通常、脆弱性を報告する企業に対し、対処までに90日間の猶予を与えるが、今回は緊急性が高かったため、猶予は1週間だった。

 zero 2 Appleの修正報告

 Project Zeroのイアン・ビア氏は、ユーザーが自分を守るためにできることは、「スマートフォンは生活に不可欠なものではあるが、侵害されればすべてのデータが盗まれる可能性があるということを意識することだ」としている。

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