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データサイエンティストが今すぐ「アルキメデスの大戦」を見るべき理由マスクド・アナライズのAIベンチャー場外乱闘!(1/5 ページ)

» 2019年09月04日 07時00分 公開

 データ分析界隈で「データサイエンティストは必見」と注目される映画「アルキメデスの大戦」を見てきました。評判通り、現代に生きるデータサイエンティストへの示唆に富んだ内容だったので、映画本編と合わせて原作漫画の描写も紹介したいと思います。

(※)本文には「アルキメデスの大戦」のネタバレが含まれています。鑑賞前の方はご注意ください。

連載:マスクド・アナライズのAIベンチャー場外乱闘!

マスク

自称“AI(人工知能)ベンチャーで働きながら、情報発信するマスクマン”こと、マスクド・アナライズさんが、AIをめぐる現状について、たっぷりの愛情とちょっぴり刺激的な毒を織り交ぜてお伝えします。お問い合わせのメールは info@maskedanl.com まで。Twitter:@maskedanl

(編集:ITmedia村上)


 時は太平洋戦争が近づく1933年(昭和8年)、日本海軍における軍艦建造計画が舞台となります。海軍上層部の間では、強力な大砲を搭載した「戦艦派」と、戦闘機を搭載する「空母派」で意見が分かれています。

 意思決定を下す大臣のためにお互いが建造費を提示するものの、戦艦の建造費が不自然に安いことが明らかになりました。そこで空母派は戦艦の正確な建造費を算出するため、天才数学者である主人公を軍にスカウトするのです。

どっちの軍艦ショー(筆者作成、いらすとや)

 現代に置き換えれば、企業における買収案件で不当な評価額を根拠にする社長派と、その不正を暴くために天才データサイエンティストを雇う専務派の対立とでもいえるでしょうか。約90年前の話ですが、ストーリーだけでなく、全編を通して時代を越えた共通点が多いと感じました。

偉い人は見た目のインパクトに弱い

 本編を順番に見ていきましょう。印象的な冒頭シーンが終わり、場面は海軍の会議室に移ります。軍艦の建造について協議する中で、戦艦派は大きく優美な模型を手配します。それを見た意思決定者である海軍大臣は、思わず魅入ってしまいます。

 資料で「全長263メートルの戦艦」と説明するよりも、完成形をイメージできる模型の方が圧倒的に説得力があります。こうして建造費の安さだけでなく大臣の心もわしづかみにした戦艦派に対して、空母派は危機感を募らせて主人公を軍にスカウトしました。

 データサイエンティストは根拠ある数字で説明することも大事ですが、偉い人は分かりやすい見た目に感情を動かされることも知っておくべきでしょう。

 数字を並べた資料だけでなく、成果をイメージできる写真やイラストを見せたり、分析ツールの導入なら機能比較表ではなく実際に動くデモを見せたりと、見た目を意識しましょう。対して、現場側には細かな数字や機能を伝えるといった使い分けも必要です。

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