昨年10月、マツダは都内で「マルチ x EV計画」の記者発表を行った(記事「明らかにされたマツダのEV計画」参照 )。マルチ x EV計画とは、バッテリー、モーター、コントロールユニット、発電用エンジンを構成要素としたシステム・コンポーネンツ化によって、順列組み合わせで、さまざまな電動化ニーズに答える電動化ソリューションである。
マツダが東京モーターショーで発表する新型EVのプロトタイプ。外観はCX-30のダミーデザインが被せられている
環境問題を解決するためには、電動化は極めて重要だ。世間では「EV(電気自動車) vs HV(ハイブリッド)」はどちらが良いかという議論が盛んだが、冷静に考えるとこれは非常にバカバカしい。
あなたが病気になった時、「これが万能薬」と言われて、診察もせず「万金丹」を処方されたら納得がいくだろうか? そんなはずはない。医者が正確に病状を診察して、症状に即した薬が処方されるべきだ。時間軸でも、病状の回復度合いによってまた処方も変わっていくべきだろう。
環境だって同じだ。例えば今回マツダのプロトタイプEVの試乗会が行われたノルウェーでは、電力のほぼ全てが水力発電で賄われており、豊富な石油資源はその多くが輸出に回されて外貨を獲得している。エネルギー自給率600〜700%という極めて特殊な事情の国では、EVを使うことが正しいソリューションになる。
ノルウェーはエネルギー自給率が700%とも言われる。自動車の充電は無料。高速道路にも優先レーンが用意されるなどEV優遇政策が充実している
豊富な発電能力を元にEV環境が整備されているノルウェーのEV事情(マツダ資料より)
マツダのEVがスーパーハンドリングEVになった仕組み
昨日の記事でマツダのEVの、常識を覆すハンドリングフィールについてのインプレッションを書いた。革新的なハンドリングはどうやってもたらされたのか。秘密は、エンジンよりも精緻な制御が可能なモーターを使って、Gベクタリングコントロール(GVC)が、常に接地荷重のコントロールを行い続けているからである。
自動車メーカーを震撼させる環境規制の激変
「最近のクルマは燃費ばかり気にしてつまらなくなった」と嘆いても仕方ない。自動車メーカーが燃費を気にするのは、売れる売れないという目先のカネ勘定ではなくて、燃費基準に達しないと罰金で制裁されるからだ。昨今の環境規制状況と、それが転換点にあることを解説する。各メーカーはそのための戦略を練ってきたが、ここにきて4つの番狂わせがあった。
明らかにされたマツダのEV計画
ここ数年マツダは内燃機関の重要性を訴えており、SKYACTIV-Xを筆頭とする技術革新を進めてきた。中にはそれをして「マツダはEVに否定的」と捉える層もあるが、実はそうではない。EVの必要性や、今後EVが増えていくということを、マツダは一切否定をしていないのだ。
マツダの決算 またもや下がった利益率の理由
売上高は増収だったが利益面の落ち込みが激しいマツダの決算。北米と中国市場の不振が響いた結果だ。今後に向けて、販売店改革とパワートレーンの刷新を進めるが、これが北米市場で実を結ぶかどうかが焦点となる。
自動車を売るビジネスの本質 マツダの戦略
原理原則に戻ると自動車ビジネスもシンプルだ。商品とサービスに魅力があれば、新車を正価、つまり値引きせずに売れるから中古車の相場が上がり、その結果下取り価格が高いので、買い替え時により高いクルマが売れる。これが理想的サイクルだ。それを実現した例として、マツダの取り組みを歴史をひもといてみよう。
大ヒットの予感 マツダCX-30
Mazda3をベースにしたSUV、CX-30。CX-3はクーペ型SUVでパーソナルユース、CX-30はファミリー層に向けた商品だ。大人4人をしっかり乗せ、ある程度のラゲッジ積載量を備えつつ、タワーパーキングに入れられるコンパクトSUVという、ラインアップ上の隙間を埋めた。
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