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NHKはどう「ぶっ壊す」べきか(1/2 ページ)

» 2019年08月21日 07時09分 公開
[小寺信良ITmedia]

 「NHKから国民を守る党(N国)」の活動が、日に日に大きな波紋を起こしている。契約=支払い義務付けではないというN国立花党首の主張に対し、7月30日にNHKが警告文を出した。

この記事について

この記事は、毎週月曜日に配信されているメールマガジン『小寺・西田の「マンデーランチビュッフェ」』から、一部を転載したものです。今回の記事は2019年8月19日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額648円・税込)の申し込みはこちらから

 多くのメディアがこの警告文をニュースにしているが、原本へのリンクがほとんどないのでここで掲載しておく。ソースを見るの大事。

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 そこには、

放送法や受信規約では、NHKの放送を受信できる設備をお持ちの方は、受信契約を結び、受信料をお支払いいただくことが定められています

と明記してあり、立花党首の主張と真っ向から食い違う。では放送法を見ておこう。第六十四条には、

協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない

とは書いてあるが、確かに受信料を支払う義務に関しての明記はない。

 続く第六十四条2を見ると、

協会は、あらかじめ、総務大臣の認可を受けた基準によるのでなければ、前項本文の規定により契約を締結した者から徴収する受信料を免除してはならない。

と、いきなり受信料の話が出てくる。この間には、「契約を結ぶ=受信料を支払う」ことが暗黙の了解として含み置かれているという読み方もできなくはないが、「明文の規定はない」と言われれば確かにない状況ではある。

 ここまでは放送法の話だ。NHKの警告文には、「放送法や受信規約では」と書かれている。では受信規約も見てみよう。受信規約はNHKと受信契約をかわす際に同意する規約ということになるが、これの第5条にこう規定がある。

第5条 放送受信契約者は、受信機の設置の月から第9条第2項の規定により解約となった月の前月(受信機を設置した月に解約となった放送受信契約者については、当該月とする。)まで、1の放送受信契約につき、その種別および支払区分に従い、次の表に掲げる額の放送受信料(消費税および地方消費税を含む。)を支払わなければならない。

 長ったらしいが要約すると、「放送受信契約者は〜次の表に掲げる額の放送受信料を支払わなければならない」ということであり、ここでは契約者に対して支払い義務を負わせている。

 つまりNHKの警告文は、放送法には規定がないものを、受信規約も混ぜることで、いかにも放送法でもそう書かれているかのような見せかけが行われている。こういうやり方は「公共放送として」いかがなものか、ということになる。

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