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ホリエモン的“多動力”の逆張りで生きよう えらいてんちょうの“ショボい”キャリア論“静止力”で地方の名士になる!?(1/5 ページ)

» 2019年08月16日 07時00分 公開

編集部からのお知らせ:

本記事は、書籍『静止力 地元の名士になりなさい』(著・えらいてんちょう(矢内東紀)、KKベストセラーズ)の中から一部抜粋し、転載したものです。著述家やユーチューバーとしても活動する、えらいてんちょう氏の独自のキャリア論をお楽しみください。


 少子高齢化が叫ばれて久しい我が国ですが、2030年には65歳以上の高齢者の割合が30%を突破するといわれています。一方、労働力の中心を担う人口(1〜64歳の人口)は減り続けるばかりで、2010年代に60%オーバーだった割合は、2030年には約55%に減少。2060年には50%を下回ると予測されています。

 もちろん、こうした問題を前に、日本政府も手をこまねいていたわけではありません。政府は1994年から少子化対策に取り組み(エンゼルプラン)、以降も子ども・子育て応援プラン(2004年)、少子化危機突破のための緊急対策(2013年)、子ども・子育て本部の設置(2015年)、ニッポン一億総活躍プランの策定(2016年)など、仕事と子育ての両立支援を目標に、子どもを生み育てやすい環境づくりに向けてのさまざまな施策を打ち出してきました。とはいえ、一定の努力は見受けられるものの、現状では焼け石に水といったところでしょう。

 そこで「日本人の労働者が足りないなら、海外から呼べばいいじゃない!」と言わんばかりに、近年増加しているのが外国人労働者です。2011年に約69万人だった外国人労働者の数は、2017年には約128万人に増加。さらに政府は、2025年までに50万人超の受け入れを目指すと発表しています。

 そういえば、今年の新宿区の成人式では、約45%の新成人が外国人だったと報じられて話題になりましたよね。彼らの多くは大学や日本語学校に通う留学生とのことですが、日本が留学生の受け入れを拡大している目的の1つとして、高度外国人材の確保による経済成長戦略があるわけです。

「多動」な生き方に憧れる日本の若者

 とまぁ、ざっくりと日本が直面している労働力の現状について説明しましたが、本題はここからです。労働力不足や外国人就労者が話題となっている中、果たしてネイティブ・ジャパニーズの若者は、どのような働き方をしているのでしょうか。

 私が見る限り、彼ら日本の若者たちは、意欲的な人ほど多動性の潮流に乗ろうとしているように感じます。

「俺は何でもできる!」

「ひとつの仕事になんか縛られたくない!」

「自分の可能性を試すんだ!」

photo 「多動」な生き方が流行っているが、そこに意外な落とし穴も?(写真はイメージ。提供:ゲッティイメージズ)

 これらの考えは、決して悪いとは思いません。ひと昔前までなら「会社に入ったら3年は我慢しろ!」なんて言われたけれど、入った会社がブラックだったら早々に辞めるべきだし、一般の大手企業でも終身雇用で会社に守られる時代なんてとっくに終わりました。さまざまな分野の仕事ができる能力は評価されてしかるべきです。

「自分の天職を見つけるまで、転職を繰り返すんだ!」

 気持ちは分かります。

「だから地元を出て、都市部に行って可能性を試したい!」

 うん、その気持ちもよく分かる。

 でもね、そんな彼らに向けて、私は声を大にして言いたい。

“多動できるのは、青年時代のごく限られた期間だけなんですよ”と。

 いまの若者たちのそういった風潮を後押しているのは、おそらくバブル経済崩壊以降に登場した新時代のリーダーたちではないでしょうか。

 旧態依然の経営方針にうんざりする中、新たなビジネスモデルや思想を掲げて頭角を現したカリスマ経営者。この人たちなら、長引く不況や閉塞的な社会を打ち破ってくれるのではないか。期待とともに憧れを抱き、いつしか自分も同じように成功したいと願うようになったのは、自然なことといえるかもしれません。

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