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スマホ冷却の救世主 「常温保冷剤」の実力とは

» 2019年08月09日 16時40分 公開
[芹澤隆徳ITmedia]

 最近、「Pokemon GO」(以下、ポケGO)トレーナーの間で「常温保冷剤」が注目を集めています。ポケGOといえば、猛暑でも極寒でも、とにかく外に出なければ始まらない過酷なゲーム。そのガチ勢たちが口をそろえてオススメする、スマートフォンの熱対策グッズを試してみました。

常温保冷剤を取り付けたiPhone X(背面)

 常温保冷剤は、「潜熱」(せんねつ)を利用した熱対策グッズです。潜熱とは、氷が水になるように物質が固体から液体になったり、液体から固体になったりするときに移動する熱エネルギーのこと。例えば氷は溶け始めるとき、周囲から熱を吸い取ります。同じように、スマホが熱くなったときに溶け出す物質を使えばスマホを冷却できる、という仕組みです。

 一方、冷凍庫で凍らせる一般的な保冷剤でスマートフォンを冷やす場合、温度が低くなりすぎて中で結露し、その水が電子回路に悪影響を及ぼす可能性があります。機器内で水が発生するのですから、防水仕様のスマホでも危険です。私も昨年までは通常の保冷剤を使っていましたが、固くて持ちにくく、冷たくてタオルやハンカチが欠かせないなど使い勝手も良くありませんでした。今年はそれを卒業したいと思います。

 Amazon.co.jpで調べたところ、スマホ用をうたう常温保冷剤は2種類ありました。アルミ箔のパックに入っていて中が見えないものと、白い物質が透明なビニール袋に入ったもの。今回は状態変化が分かりやすい白い方を選んだのですが、後で違いがあることに気づきました。

 アルミのほうは、日本ブロアーという電子機器用ファンの老舗が作っているもので、中には32度で溶ける塩化化合物が入っています。一方の白い方はメーカーや素材などの説明がないノーブランド品。どちらも2個1セットで、スマホに固定するためのゴムバンドも2つ付属していました。

ゴムバンドで固定すると画面の四隅が少し隠れてしまう

 日本ブロアーのWebサイトによると、常温保冷剤には塩化化合物の他にパラフィン(ろう)が使われるケースがあり、そちらは熱吸収の性能などが安定しないそう。購入したノーブランド品がそうなのか分かりませんが、外箱には「32度で溶け出し、溶けきるまでスマホの熱を奪い続ける」と書いてあります。今はこの文言を信じるしかありません。

猛暑の横浜イベントで使ってみた

 検証の舞台は、リアルイベント「Pokemon GO Fest in Yokohama」の初日。最高気温34度とかろうじて「猛暑日」ではないものの、とにかく日差しがきつくて日陰に入らないとプレイできない状況です。私はiPhone X、同行者はiPhone SEを使用しており、経験上、しばらくプレイすると画面がカクカクになるレベルの暑さです。

会場の様子。歴代の起動画面が並んでいます
日差しを避けて木の下に集まる参加者たち

 常温保冷剤を付属のゴムバンドでiPhoneの背面に固定し、朝10時過ぎにプレイ開始。お昼までの2時間ほどで白い物質はどんどん柔らかくなり、最後には透明な液体になりました。手に持っているスマホは確かに熱いけれど、熱すぎるわけではありません。なにより酷暑の2時間、何の支障もなくプレイできていたことに驚きました。常温保冷剤、悪くないです。

半分ほど溶けた状態。透明な液体に変わっています

 その後、冷房の効いた場所で食事をしながら、人造大理石と思われるテーブルの上で冷やしたところ、数十分で白く固形化しました。ちなみに冷やすときは平らな場所に置いて形を整えておかないと、固まった後に使いにくくなりますので気をつけてください。

 まとめると、常温保冷剤のメリットは、(1)電源や充電が必要ない、(2)冷やし過ぎないので結露の心配がない、(3)柔らかいので使い勝手がいい(ちょっと重い)、(4)何度でも使える——使い勝手に優れ、コストパフォーマンスの高い熱対策グッズでした。夏のポケ活はこれで乗り切りたいと思います。

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