クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

新型タントデビュー DNGAって一体なんだ?(後編)池田直渡「週刊モータージャーナル」(1/5 ページ)

» 2019年08月13日 07時00分 公開
[池田直渡ITmedia]

 前編ではダイハツが一隅を担うトヨタアライアンスの新興国戦略の規模と特徴、その中でなぜ「コモンアーキテクチャー」を採用する必要があるのかを明らかにした。

 多くの人が「新世代プラットフォーム」の名前だと勘違いしているが、DNGAはトヨタのTNGAと同様に、企業まるごとの強靭化計画であり、設計や生産のみならず、部品調達や人材教育まで、ダイハツの企業経営全体を強化する新しい経営思想だ。プラットフォームを含むコモンアーキテクチャーは、あくまでも形として見える部分集合に過ぎない。

ダイハツのDNGA第一弾となる新型タント

乾いた雑巾からさらに25%削減する手法

 コモンアーキテクチャーは、従来のような物理的な部品共通化ではなく、「設計手法と生産手法を共通化する」ことが特徴だ。大事なのは寸法や形状の同一性ではなく、設計や生産設備に投じたコストに対して、サイズや使用環境に応じてより幅広い製品を生み出すことだ。

 その効果は、先行例であるトヨタのTNGAを見ると分かりやすい。トヨタは8月2日に行った第一四半期の決算発表で、TNGAによるコストダウンの成果を発表した。実に、開発工数でマイナス25%、設備投資額がマイナス25%、車両原価はマイナス10%となっている。

トヨタが発表したTNGAのコスト改善効果(トヨタ資料より)

 当然、ダイハツの当面の目標もこれに近い線を狙ってくるだろう。従来だって乾いた雑巾を絞るようにコストダウンし、部品の共用化だって徹底的にやってきている。しかし、そこから上に挙げたような衝撃的なパーセンテージのコストダウンを果たしているのだ。これこそがコモンアーキテクチャーが新時代のクルマづくりであることを表しているといえるだろう。

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