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ヤフー、アスクル社長会見に反論 “LOHACO乗っ取り説”など否定 「黒字化に向けて協力する」(1/2 ページ)

» 2019年07月18日 20時33分 公開
[濱口翔太郎ITmedia]

 ヤフーは7月18日、経営などを巡って対立関係にある通販子会社アスクルの岩田彰一郎社長が記者会見を開き、ヤフーを批判した件について、反論のコメントを発表した。岩田社長は、共同運営するECサイト「LOHACO」事業を「このままでは(ヤフーに)乗っ取られてしまう」などと発言していた。ヤフーによると、同事業の譲渡を打診したのは事実だが、アスクルが拒否したことを受け入れており、「今後は譲渡を申し入れる方針はない」という。引き続き、同事業の黒字化に向けて「最大限支援する」としている。

 会見で岩田社長は、ヤフーに対して業務・資本提携関係の解消を再度求めることや、株式の売渡請求権の行使を検討することを示唆した。これに対してヤフーは、「関係の見直しについての協議は不要と考えている」「アスクルの株式を譲渡する予定はなく、売渡請求も受けていない」とコメント。アスクルとの交渉に応じない構えを示した。

photo ヤフーによるコメント

対立の経緯は?

 アスクルとヤフーは、2012年4月に資本・業務提携を締結。同年10月にLOHACOをスタートした。15年にはヤフーによる出資比率(議決権ベース)を約45%に引き上げ、提携を強化した。

 だがヤフーは、LOHACO事業で赤字が続いていることや、アスクルの19年5月期の連結業績で、純利益が前年同期比90.7%減となる4億3400万円に低下したことを問題視。19年1月にLOHACO事業の譲渡を、6月には岩田社長の退陣を求めた。

 ヤフーは、アスクルが8月2日に開催予定の定時株主総会で、岩田社長の再任議案に反対票を投じる方針を固めている。

 アスクルはこうしたヤフーの動きに強く反発しており、岩田社長は18日の会見で「全てが不可解」 だと述べていた。中でも「LOHACOの譲渡を求めたのに、譲渡後のプランを説明していない点が理解できない」などとし、「今、LOHACOを切り離すのは(自社の)利益にならない」と強調していた。

photo ヤフーとアスクルが共同運営する「LOHACO」

LOHACOの譲渡を提案したのはプラス今泉社長

 ただ、かつてアスクルを設立し、09年まで親会社だった第2位株主のプラスも「ヤフーの考えに賛同し、岩田社長の再任に反対票を投じる」との声明を公表している。

 会見で岩田社長も認めていたが、アスクルの取締役会で「LOHACO事業の赤字が業績に影響を与えているため、中止や譲渡を考えるべきではないか」と提言したのは、プラスの今泉公二社長(アスクル社外取締役)。ヤフーが派遣している社外取締役ではなかった。

 筆頭株主であるヤフーは今泉氏の提言を踏まえ、アスクルにあらためてLOHACOを譲渡するか否かを聞いた。これが、今回の騒動で問題視されている「LOHACO譲渡の打診」の真相なのだという。

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