都心オフィスビル空室率は低水準 J-REITは07年以来の高値

» 2019年07月17日 11時19分 公開
[斎藤健二ITmedia]

 オリンピックを控え、各地で再開発が進む東京。都心部へのオフィス供給が増加するなか、需要はそれを上回り、空室率は低水準。賃料も66カ月連続で上昇している。こうした背景の中、J-REITは2007年以来の高値を付けた。相対的に高い利回りも投資家の注目を集めている。

2019年〜2023年の主要地区の大規模オフィス供給量(=森トラスト)

 森トラストの調査によると、18年は過去の平均を4割上回る供給があったが、ほぼ全ての新築大規模オフィスビルが満室。「旺盛なオフィスニーズのもと、19年竣工のビルも既に大部分で募集を終了させており、過去3番目に高い水準の供給が見込まれる20年竣工ビルもテナント誘致が進んでいる」(森トラスト)

 特に、千代田区、中央区、港区の都心3区での大規模オフィス供給量が多く、57%が都心3区に集中している。

都心3区のオフィス床面積の推移(=森トラスト)

 直近の6月でも、オフィスビルの空室率は低水準を維持している。オフィスビル仲介大手の三鬼商事がまとめたデータによると、都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)の空室率は1.72%(前月比+0.08ポイント)。過去最低率を更新した5月対比ではわずかに上昇したが、極めて低水準にある。

 また平均賃料は、前月比+0.57%の坪当たり2万1518円。平均賃料は66カ月連続で上昇している。

 三井住友DSアセットマネジメントのレポートによると、「当面まとまった空室は発生しないと見込まれているなど、オフィスビルの需給のひっ迫は続く」としている。また、こうした旺盛なオフィスビル需要を背景に、オフィスビルなどに投資するJ-REIT市場も堅調に推移。東証REIT指数は7月10日に、07年以来の高値を付けた。

 価格上昇を受けて分配金利回りは低下しているが、3%台を維持。三井住友DSアセットマネジメントは「10年国債利回りがマイナス圏にある中、相対的に利回りが高いREITに投資家の注目が集まり、国内外の資金が流入している。好調な不動産市況、長期化する金融緩和政策などから、J-REIT市場は引き続き堅調な展開が見込まれる」としている。

東証REIT指数連動ETF(1345)の株価推移(=STREAM)

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