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ソニー、数クリックだけでAIが予測分析するツール提供 法人向けに当面は無料で

» 2019年06月12日 17時12分 公開
[村上万純ITmedia]

 ソニーとソニーネットワークコミュニケーションズは6月12日、プログラミングなしで使える、機械学習を用いた予測分析ツール「Prediction One」を法人向けに提供すると発表した。当面は無料で利用可能で、有料化の時期は決まり次第Webサイトで案内する。サポートは有償。

ソニー 機械学習を用いた予測分析ツール「Prediction One」

 予測分析は、統計アルゴリズムや機械学習を使って過去の実績から将来の結果を予測するデータ分析手法の一つ。工場における製造機器の故障予測や、退職しそうな従業員の予測など、幅広い領域で活用を見込める。

 Prediction Oneは、機械学習やプログラミングの専門知識がなくても操作できるGUI(グラフィカルユーザーインタフェース)を採用した。予測したいデータをアップロードし、分析結果が表示されるまで数クリックで完了するという。これまで専門的な知識や経験が必要だった「データの前処理」と、予測モデルの選択や学習といった「モデリング」も独自開発の技術で自動化した。

ソニー データを取り込んだところ
ソニー 予測モデルにデータを学習させ、分析しているところ

 予測結果を次のアクションに生かせるように、どの特徴量が結果に大きな影響を与えているかを可視化したのも特徴だ。学習の実行はローカル環境で行う。標準的なスペックのノートPCやデスクトップPCで動作するとしている。

 ソニーグループ内では、数年前から金融や不動産などの事業で予測分析の導入を進めてきたという。実務で使う中で得られたフィードバックを基に改良を重ね、社外向けソフトウェアとしてサービス化した。利用したい場合は製品サイトで必要事項を入力するとダウンロードできる。

ソニー ソニーネットワークコミュニケーションズの渡辺潤執行役員

 ソニーネットワークコミュニケーションズの渡辺潤執行役員は、「機械学習を用いた予測分析ツールはプログラミングが必要なものが多く、データサイエンティストなど専門知識や経験を持っている人しか使えないという課題があった。誰でも簡単に使えるツールを無料で提供することで、幅広い活用が見込める予測分析の普及に貢献したい」と語った。

 「多くの企業に使ってもらい、フィードバックを得ることでPrediction Oneも速く進化できるので、有償化したときに納得してもらえるレベルのものになる。プロ向けツールとはすみ分けができると考えている。われわれの役割は予測分析の裾野を広げていくことだ」(渡辺執行役員)

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