2019年2月にG1サミット2019「時代の先を読む開拓者たち〜大放談3.0〜」が開催され、DMM.com会長の亀山敬司氏、gumi会長の國光宏尚氏、グリー会長兼社長の田中良和氏、ウォンテッドリー代表取締役CEOの仲暁子氏らが登壇した。
テクノロジーによる変化がすさまじい「AI時代」の中で新たなチャンスをつかむためには、どうすればいいのかについては記事の前編(DMM亀山会長らが語り合う「10年後のパラダイムシフト」――世界の“インフラ勢力図”はどう変わるのか?)でお届けした。後編ではAI時代の人間の働き方や生き方、社会がどのようなものになるのかについて、気鋭の起業家たちが語りつくす。モデレーターを務めたのはプロノバ代表取締役社長の岡島悦子氏。
岡島悦子氏(以下、敬称略): 國光さんは、例えばVRやスマホに合ったUXですとか、「これでしかできないことは何か」ということをすごく考えていますよね?
國光宏尚氏(以下、敬称略): イノベーションってすごくシンプル。イノベーションというのは「今までにまったくなかった何か」を生み出すことだと誤解されがちです。でも、可処分時間と処分所得は一定なわけだから、まったくないものがつくられるケースはあまりないんです。それより重要なのは、新しいテクノロジーを使って、すでにあるものを圧倒的に安くするか、便利にするか、楽しくすること。この3つがイノベーションなんです。「メルカリすごい!」と言うけど、オークションなんて昔あったわけじゃないですか。「LINEすごい!」と言うけどチャットなんてあった。
あるいは「Uberすごい」と言うけど、電話でタクシーを呼ぶことだってできていた。ただ、求人だって昔からあったわけだけど、それが新しいテクノロジーによってすごく便利になった。それで、ウォンテッドリーを使っていると「ココロオドル」という風になる、と。これまでの10年はそんな風にして、スマートフォン、クラウド、ソーシャルを使って、既存のものを圧倒的に安く、便利に、楽しくしていた。でも、今後は、XR(Extended reality)、IoT、そしてクラウドAIという新しいテクノロジーで、それをしていくところが勝つと思います。
そのなかでも、一番分かりやすいイノベーションがUI・UXに関わる部分。これまでスマートフォンで勝った会社がやってきたことは、まあまあシンプルなんです。スマートフォンという、小さな、けれども常時接続しているものに適応したところが勝ってきた。一方、AR時代がどうなるかというと、まず空間全てがつながっているような状態になります。ただ、そのインタフェースが今はARグラスかホロレンズぐらいしかないから、それをまだ試すことができないわけですね。でも、VRのなかであれば、そうした未来のUI・UXを全て付けることができる。そこが重要なんです。ブロックチェーンになると話は別ですが、結局のところ、インターネットだけで完結する世界というのが今のところは終わった。だから仕方なくリアルと連携させる、みたいな話になっているわけで。
ではARで何が重要かというと、今僕らが見ているものの全てをデータとして取ることができる点。誰に会って、どこに行って、何を食べて、どこを見ていたかとか、空間にある全てのデータを取ることができます。だから、今までとは次元の違う量のデータが対象になるので、それをどのように処理して、表示させるのか。これはつまりUI・UXの革命なんです。で、それがVR上ではすでにできる。だから、田中さんのところもそうですが、VRを今やっているところは将来のAR時代も優位に進めることができるという風に考えています。
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