早期・希望退職の募集企業が急増 前年の2倍ペース赤字リストラ増加傾向

» 2020年06月03日 16時34分 公開
[ITmedia]

 東京商工リサーチは6月2日、2020年1〜5月に早期・希望退職者を募集した上場企業が33社だったと発表した。前年同期は17社だったことから、2倍のペースで増加している。昨年から、将来を見据えた先行型の退職者募集が増加していたが、今後は新型コロナウイルスの影響から、業績不振によるリストラが増えそうだ。

新型コロナの影響もあり、早期・希望退職の募集企業が増加(写真提供:ゲッティイメージズ)

 早期・希望退職者の募集が5月までに30社を超えたのは、13年以来7年ぶり。19年は年間で35社だったため、20年は5カ月でその水準まで増えたことになる。

 33社を業種別にみると、「繊維製品」が5社で最多だった。19年10月の消費増税、暖冬といった事業環境の悪化に加えて、新型コロナによる店舗休業などの影響が重くのしかかっている。民事再生法の適用を申請したレナウンのほか、オンワードホールディングス、片倉工業、オーミケンシ、東海染工が退職者を募集した。

 他の業種では、「輸送用機器」が4社、「電気機器」「精密機器」「サービス」が各3社だった。

民事再生法の適用を申請したレナウンは300人程度の希望退職者を募集(出典:プレスリリース)

 また、新型コロナの影響で早期・希望退職者の募集を開示した企業は5社。そのうち、ラオックス、HANATOUR JAPAN、ベルトラの3社は外国人観光客の減少が影響している。残り2社は、自社製品の需要減を見込む岡本硝子と、広告出稿の減少が影響したぱどだった。

 20年の退職者募集の傾向をみると、直近の決算が赤字の企業が目立つという。33社中15社が赤字を計上している。東京商工リサーチは「業績堅調な企業の人員削減(黒字リストラ)以上に、業績不振による従来型の“赤字リストラ”による退職者募集が増えてきた」と分析している。

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