5月12日、ホンダの決算発表が行われた。総評としては、減収減益に沈んだ。ただし、念のために申し添えておくと、詳細に見ていけば善戦した形になっており、特に肩を落とす必要があるわけではない。ただ、もちろん課題は課題で存在する。
ホンダのアコード
台数面で見ると四輪が532万3千台から479万台へダウン。差分が53万3千台で、マイナス10%だ。二輪は2023万8千台から1934万台へダウン。こちらの差分は89万8千台でマイナス2.4%である。評価としては、まあそこそこ波乱含みの結果だといえるだろう。緊急事態ではないが、平穏ではない。コロナの影響が多少あることを考えれば、このくらいで堪えたともいえるし、何事もなかったとは言い難いラインである。
ホンダの2019年度グループ販売台数(ホンダ決算説明資料より)
ちなみに、当期の決算においてはコロナの影響で、ホンダだけでなく、自動車市場そのものの需要の落ち込みがある。こういうケースではそれを加味しないと実力が測定できない。市場全体の動向を「全体需要」とか「全需」といったりする。コロナによる「向かい風参考記録」的なシチュエーションでは、全需の落ち込みがどの程度あるのかが分からないと、決算の出来が判定しにくい。
筆者はそれを台数ベースで見て、5%減程度と踏んでいる。論拠の詳細は先週の記事を参照されたし(5月18日の記事参照)。利益など財務指標については、損益分岐点をどの程度超過しているかによるので、全需との関係性は間接的なものになる。
- 象が踏んでも壊れないトヨタの決算
リーマンショックを上回り、人類史上最大の大恐慌になるのではと危惧されるこの大嵐の中で、自動車メーカー各社が果たしてどう戦ったのかが注目される――と思うだろうが、実はそうでもない。そして未曾有の危機の中で、トヨタの姿は極めて強靭に見える。豊田社長は「トヨタは大丈夫という気持ちが社内にあること」がトヨタの最大の課題だというが、トヨタはこの危機の最中で、まだ未来とビジョンを語り続けている。
- 新型コロナ恐慌がもたらすマーケット変化
新型コロナウィルスの登場によって、今まさに進行形で世界経済はパニックに陥っている。自動車産業も全体としては大変厳しい局面を迎えるだろう。5月発表の各社の決算は多くが赤字に沈むだろう。今手元にある材料で判断する限り、比較的復興が早いと思われるのは、米国と日本になるのではないか?
- ホンダの決算 バリエーション7割削減の意味
増収減益ながら、欧州の工場閉鎖など減益は一過性となるホンダの決算。そして来期に向けては、無駄な派生車種を3分の1に削減し、基礎設計を共通化する「ホンダアーキテクチャー」の導入も進める。
- 見えてきたホンダのMaaS戦略
ソフトバンクとトヨタ自動車が共同出資して立ち上げたMaaS企業「MONET」に、ホンダが資本業務提携する。同時に、MONETは88社が参加するコンソーシムも立ち上げた。なぜオールジャパンのコンソーシムが必要なのか。またホンダの狙いはどこにあるのだろうか。
- それでいいのかホンダ!?
ホンダが中国で新たな工場を建設する。これは白紙撤回されたはずの600万台体制の計画の一部だと筆者は見ている。しかし、ホンダが今やるべきことはほかにあるはずではないだろうか……。
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