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「低コストで公衆5Gとそん色ないレベル目指す」――東大とNTT東など、ローカル5G普及に向けた研究会設立

» 2020年05月22日 20時31分 公開
[吉川大貴ITmedia]

 NPO法人のブロードバンド・アソシエーションは5月22日、産学連携でローカル5Gの普及を推進する「ローカル5G普及研究会」の取り組みと課題を明かした。発起人代表の東京大学大学院教授の中尾彰宏さん(情報学環)は、「低コストかつ公衆5Gとそん色のないインフラ構築を目指す」とした。

 ローカル5Gは、地域や産業の二ーズに応じて、企業や自治体などが自らの建物内や敷地内で構築できる5Gシステム。携帯キャリアが全国で提供する5Gサービスとは別に、地域の企業などが柔軟にネットワークを構築できるようにし、5Gを早期に普及させる狙いがある。

photo NPO法人のブロードバンド・アソシエーションは、ローカル5Gの普及を推進する「ローカル5G普及研究会」の課題と取り組みを紹介した(中央=中尾彰宏さん)

 ローカル5G普及研究会には東京大学の他、NTT東日本やNECなどが参加。ローカル5Gに求められるスペックを明らかにする「実証実験WG」、ローカル5Gを実際に運用していくためのプラットフォームを構築する「技術WG」など3つのワーキンググループを設け、成功モデルケースの確立を目指す。実証実験WGは東京大学とNTT東日本が共同設立したテストベッド「ローカル5Gオープンラボ」などでも試験を行う。設立は3月4日。

photo 「ローカル5G普及研究会」の組織図

 具体的な取り組みとしては、(1)ソフトウェア化・設備共用の推進、(2)AI・機械学習の活用による運用自動化、(3)ローカル5Gと公衆5G間のローミングや設備共用、(4)独自のセキュリティ強化、(5)展開性の高いシステム統合開発――などを挙げた。また、通信事業者が推進する公衆5Gとローカル5Gを使い分ける方法も探求する。

 一方、喫緊の課題として(1)機器が高額である、(2)運用が難しい、(3)カバレッジが限定されている、(4)セキュリティに改善の余地がある、(5)有線網も含めた展開が難しい――などを挙げ、「解決には産官学の枠を超えたステークホルダーが異なる視点で取り組む必要がある」(東京大学の中尾さん)とした。

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