コロナ対策「マスク郵送」は本当に麻生財務大臣への利益供与なのか古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(1/2 ページ)

» 2020年04月07日 07時00分 公開
[古田拓也ITmedia]

 コロナ対策として政府が打ち出した「布マスクの1世帯あたり2枚の郵送」が賛否両論となっている。その中でも、一際目をひくのが「この度のマスク郵送が麻生財務大臣への利益供与なのではないか」といった趣旨のTwitter投稿だ。

 確かに、日本郵政の大株主欄には「財務大臣」が発行株数の63.29%を保有していることが分かる。

日本郵政のWebページ

 この情報から一部では、「政府があえてマスクを郵送するという手段を使って、日本郵政に郵送費を支払い、間接的な利益供与を財務大臣の麻生氏に行う狙いがあるのではないか」という発想につながったようだ。

 それでは、本当にマスク郵送は麻生氏への利益供与なのだろうか。

「財務大臣」は10兆円超保有の大株主

 実は、「財務大臣」は、日本郵政だけでなく、日本電信電話(NTT)や日本たばこ産業(JT)の筆頭株主でもある。NTT株は35.42%、JT株は33.35%と、いずれも単独で拒否権を発動できるレベルの保有額だ。

 これらの保有株式の価値を合計すると、その総額は10兆円規模にもなる。これが本当に麻生氏の個人資産であればMicrosoft創業者のビルゲイツ氏と同じか、それを上回る資産を保有していることになる。また、上記はいずれも公益性の高い法人であり、一個人で経営方針を左右し得るレベルの議決権を保有しているのかという点について考えると、「財務大臣」が麻生氏個人を指しているとは考えにくい。

4月1日、参議院にてマスクを調整する麻生太郎財務大臣(写真:ロイター)

 では、「財務大臣」がこれらの企業の筆頭株主になっている背景には何があるのだろうか。

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