ゆうちょ銀行で進むDX、あえて機能制限したアプリをリリースする意図とは

ゆうちょ銀行は、デジタルトランスフォーメーションを進めている。アプリ開発やAI-OCRやRPAなどを駆使しているというが、どのような取り組みを実施しているのだろうか。

» 2020年04月01日 07時00分 公開
[阿久津良和ITmedia]

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 多くの銀行が自己改革を求められている。法律の文脈では国内の銀行法改正や欧州決済サービス指令(PSD2)、経済の文脈ではマイナス金利による銀行ビジネスモデルの崩壊と枚挙に暇がない。

 その影響を受けるのは、ゆうちょ銀行も同様だ。「銀行ビジネス自体にクエスチョンマークが付きつつある」と同行の北野義人氏(経営企画部 グループリーダー)は警鐘を鳴らす。本稿は2020年1月24日に開催した「NTT DATA Innovation Conference 2020」のセッション「デジタルの波が押し寄せる金融業界 ゆうちょ銀行のDX事例から見える『次の一手』とは」の概要をお届けする。

進む金融業界のDX

NTTデータ 第一金融事業本部 郵政ビジネス事業部 デジタルビジネス推進担当部長 青柳雄一氏

 海外に目を向けると金融機関のデジタル化事例は多い。NTTデータの説明によれば、スペインのBBVA(Banco Bilbao Vizcaya Argentaria)は2014年時点で16%程度だったデジタル化を3年後の2017年には92%まで拡大した。新規口座開設やウォレット、金融商品のレコメンドなど一連の対応業務をスマートフォン経由でできるようにしたのだ。

 2016年に独自の銀行免許を取得して設立したドイツのN26も、モバイル決済を武器に3年間で口座数を350万件まで拡大した。2018年には欧州25カ国、2019年には北米での活動を開始している。

 シンガポールのDBS Bankは旧態依然の金融機関だったが、2010年から始めたモバイルバンキングサービスをきっかけに、銀行システムや顧客体験、企業文化の改革に舵を切った。「同行はGANDALF(Google、Amazon、Netflix、DBS、Apple、LinkdIn、Facebook)を旗印にして、プラットフォーマーを目指している」とNTTデータの青柳雄一氏(第一金融事業本部 郵政ビジネス事業部 デジタルビジネス推進担当部長)は話す。このような業界動向を踏まえて、NTTデータはゆうちょ銀行のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援してきた。

あえて機能制限したアプリをリリース、その理由とは

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