目指すは“AIの民主化”――ノンプログラミングで「機械学習予測パイプライン」の全自動化を実現、業務部門のデータ分析を推進するソリューションとは?

» 2020年04月01日 10時00分 公開
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 企業のビジネスを変革する手段として、ビッグデータの利活用が注目されて久しい。だが日本では、データが各部門内に閉じられたままサイロ化しており、うまく統合できない点や、分析結果をビジネスにつなげられない点などの課題を持つ企業は多い。経済産業省も2018年末に公開した「DX推進ガイドライン」の中で、日本企業の現状について「データを活用しきれず、デジタルトランスフォーメーション(DX)を実現できていない」と指摘している。いわば日本企業は、自社の内部に眠る“金脈”を生かし切れていないのだ。

 日本企業のデータ活用が進まない要因の1つに、業務部門のメンバーや分析担当者が、自身の手で直接データを扱えないことが挙げられる。多くの企業では現在、組織内の多様なシステムにどのようなデータが眠っているのかを把握し、必要なデータを抽出・収集した上で、使えるように整形する業務を担うのはIT部門の人々だ。

 だが往々にして、IT部門には業務部門で必要なデータ分析に関する知識が不足しているケースがある。この場合、IT部門は業務部門が本当に必要なデータを準備することができないばかりか、スピーディーな意思決定が難しくなる。企業がデータをうまく活用し、DXを推進するためには、この課題を乗り越える必要があるといえる。

セゾン情報システムズがDataRobotとタッグ

 セゾン情報システムズは、こうした日本企業の課題点に着目し、解決に向けた取り組みを推進している企業の1つだ。ファイル連携ミドルウェア「HULFT」の開発元としても知られる同社は、この施策の一環で、エンタープライズ向けAIのリーディングカンパニーである米国DataRobot社の日本法人DataRobot Japanと19年8月にテクノロジー・アライアンス契約を締結。新ツール「DataSpider Adapter for DataRobot」を開発し、20年1月から提供している。

 同ツールは、セゾン情報システムズのデータ連携プラットフォーム「DataSpider」と、DataRobotの機械学習自動化プラットフォーム「DataRobot」をAPI連携するアダプターである。主な特徴は、ユーザーがプログラムコードを一切書くことなく、シンプルな操作によって、データの収集・分析・活用を一気通貫で自動化できることだ。

 具体的には、データの収集、整形、学習済みモデルによる予測、予測値のデータ連携――という機械学習予測パイプラインの自動化をノンプログラミングで開発できる。いわゆる前処理だけでなく、DataRobotが生成した機械学習モデルによる予測値をDataSpiderが受け取り、BIツールなどの業務システムに連携することもノンプログラミングで実現可能なのだ。そのため、プログラミング経験のない業務部門の担当者でも、予測結果に基づいたスピーディーな意思決定システムの開発・運用に加われる可能性が出てくる。

photo 「DataSpider Adapter for DataRobot」と機械学習予測パイプライン

シチズン・データサイエンティストが企業を成長させる

 両社の協業をリードした、セゾン情報システムズ テクノベーションセンター DX Initiative Leaderの田村孝廣氏は「業務部門で意思決定を行う担当者が、DataRobot、DataSpider、そしてDataSpider Adapter for DataRobotの助けを借りながらデータサイエンティスト的な発想でデータ分析を行えば、組織内に死蔵しているデータを有効活用することが可能となります」と指摘。「データを活用して企業が成長するためには、現場にいながらデータ分析ができる“シチズン・データサイエンティスト”という存在が重要になります」と説く。

 データサイエンティストとは、ITの知識のみならず、データ分析やビジネス分野などの幅広い知識を持ち、ビッグデータの中から価値ある情報を導き出せる専門職を指す。だが、同じく協業をリードしたDataRobot Japanカントリーマネージャーの原沢滋氏は「日本企業ではデータサイエンティストが不足しています。広範囲にわたる知識を持つ人材の絶対数が不足している上に、スペシャリストの育成には時間がかかるという構造的な課題があるからです」と指摘する。

 そこで求められるのがシチズン・データサイエンティストだ。この呼称は、ITや統計学の専門家ではないものの、高いリテラシーを持ち、データ処理ツールや機械学習基盤を駆使した分析ができるビジネスパーソンを指す。今回リリースされたDataSpider Adapter for DataRobotは、まさにそのような人々を支援するためのツールだ。主なユースケースは、現場担当者によるマーケティング効果の予測、ローン与信審査、商品の需要予測、生産設備の診断などを想定しているという。

ノンプログラミングで機械学習に必要な全工程を実現

 DataSpider Adapter for DataRobotが結びつける両ツール、DataSpiderとDataRobotも、シチズン・データサイエンティストを支援するための工夫が凝らされている。

 DataSpiderは、パブリッククラウド、各種データベース、CRM(顧客管理システム)、ERP(統合基幹業務システム)、各種業務ツール、IoTデバイスなどから日々生成されるデータを収集する他、機械学習基盤に受け渡すための結合、整形、集約といった工程を自動化する機能を持つ。

 セゾン情報システムズの田村氏は「機械学習モデルの精度を上げるにはデータの取捨選択が必須です。DataSpiderはこれを支援するための分かりやすいUI(ユーザーインタフェース)を採用し、業務部門の担当者が、自身の業務知識を盛り込んだデータ準備に専念できる仕様になっています」と自信を見せる。

 一方のDataRobotは、データを基に、世界トップクラスのデータサイエンティストのノウハウをもとにしたさまざまな分析アルゴリズム群の中から最適なものを自動的に選択し、高精度な予測モデルを構築する機能を持つ。さらに、予測モデルを使って結果を導き出した際は、結果に強い影響を与えた特徴量などをグラフなどで表示し、そのインサイトを示してくれる。AIのブラックボックス化はさまざまな場所で問題になっているが、DataRobotは「なぜそのような結果が出たのか」という根拠を図や数値で示すことで、ユーザーをサポートしてくれるツールだと言える。

photo 予測結果に強い影響を与えた特徴量のリストも設定で取得可能

 DataRobot Japanの原沢氏は「業務部門の担当者がデータ分析を行った場合は、判定に対する説明責任を負うことになります。この際に、予測モデルがブラックボックスであれば、相手が納得する説明を行うことが難しくなります」と指摘。「DataRobotは、すべての案件の判定理由を、グラフ・チャート・数値で可視化することで、この課題を解消します」と強調する。

 こうした強みを持つ両ツールが、DataSpider Adapter for DataRobotによってつながることで、業務部門の担当者は(1)データの収集と整形、(2)学習済み機械学習モデルによる予測、(3)BIツールなどへの連携、(4)ビジネス上の意思決定――といったフローを専門家の手を借りずに実現可能となるのだ。

目指すは「AIの民主化」

photo セゾン情報システムズ テクノベーションセンター DX Initiative Leaderの田村孝廣氏

 田村氏と原沢氏は、DataSpider Adapter for DataRobotの提供などによってシチズン・データサイエンティストを支援する取り組みを「AIの民主化」と表現する。業務部門によるビッグデータ活用を促進するため、ツールの機能拡充や外部連携を積極的に行い、AIや機械学習の裾野を広げる考えだ。

 ただし両氏は、AIの民主化によってシチズン・データサイエンティストが増えても、高い専門性を持つ“本家データサイエンティスト”の重要性は変わらないとみている。DataRobot、DataSpider、そしてDataSpider Adapter for DataRobotは初心者に限らず、データサイエンティストによる専門的な業務を支援できる機能を備えており、田村氏は「専門家がこれらのツールを使うと、深堀りした分析に要する時間を短縮できます」と太鼓判を押す。

 こうしたビジョンが一致したことから意気投合し、提携に向けた交渉をスピーディーに進めたという田村氏と原沢氏。両氏が声を揃えて力説するのは、DataSpider Adapter for DataRobotがコスト削減に主眼を置いたツールではないという点だ。両氏はともに、「このツールは、組織内に眠るデータを活用し、付加価値の高いサービスや新しいビジネスを創出し、企業を成長させるためにあります」と強調する。

photo DataRobot Japanカントリーマネージャーの原沢滋氏

 IT資産への投資は、新しいビジネスの創造とサービスの強化に向けた「攻めの投資」と効率化やコスト削減が目的の「守りの投資」の2つに分けられる。日本企業は米国企業よりも後者を選択するケースが多いことが総務省の調査で明らかになっているが、DataSpider Adapter for DataRobotは、そんな状況を変革するポテンシャルを秘めた製品だと言える。

 業務部門の担当者が、好きな時に最適なデータを集めて分析し、分析結果を自らのビジネスに役立てる――。そんな有益なサイクルを生み出せる同製品はこれから、シチズン・データサイエンティストの輪を日本全国に広げていくだろう。

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提供:株式会社セゾン情報システムズ
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia NEWS編集部/掲載内容有効期限:2020年4月14日

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