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香川県ネット・ゲーム規制条例案、可決 「県民をネット・ゲームから守る」

» 2020年03月18日 11時45分 公開
[谷井将人ITmedia]

 香川県議会は3月18日に開いた定例議会で、子どものネット・ゲーム使用を制限する「ネット・ゲーム依存症対策条例案」を賛成多数で可決した。「ネット・ゲーム依存症対策条例」は全国初のゲーム依存症に特化した条例として、4月1日に施行する見通し。

photo 定例議会の様子

 同条例は、18歳未満の子どものネット・ゲーム依存症を防ぐため、県や保護者、通信事業者、ゲーム制作会社などの責務を明記したもの。罰則はないものの、「ゲームは平日1日60分まで」「午後10時以降はゲーム禁止」など具体的な制限が記されており、条例案の発表当初からネット上で物議を醸していた。

 18日の定例議会で、氏家孝志県議は「ネット・ゲームの過剰な利用は体力や学力の低下、身体の問題を引き起こすと指摘されている」「県民をネット・ゲームから守る」として条例案を発議した。

 これについて香川芳文県議と秋山時貞県議は「保護者に自己責任を押しつけるものだ」「(パブリックコメントの)多くの貴重な意見を反映できていない」として、引き続き議論が必要との意見を述べた。

photo 秋山時貞議員

 賛成の立場からは佐伯明浩県議が、ネット・ゲーム依存症の危険性を主張したうえで、「県内の現状や課題を踏まえつつ、専門家や医療関係者、学校関係者と検討してきた」とアピールした。

パブコメで寄せられた意見が公開されるのは採決の後

 これまでの条例案の議論については、県議などからその透明性を疑問視する声が上がっている。12日の検討会では、1月末から2月初めにかけて行われたパブリックコメントの結果について議論する予定だったが、結果をまとめた資料は参加議員にも検討会の直前まで渡されなかった。結果に対する討論の時間は約30分で、メディアには非公開だったうえ、議事録も残っていない。

 今回、パブリックコメントには2600人以上から意見が寄せられた。香川県としては異例の人数だが、検討会で公開されたのは意見をまとめた資料のみだった。検討会に参加した秋山県議などは透明性の観点から、検討委員長の大山一郎氏に寄せられた意見の内容を公開するよう求めていた。

photo パブリックコメントで寄せられた賛成意見

 秋山県議によると、これに対し大山委員長は、検討会に参加した議員に限り内容の閲覧を許可したという。しかし、閲覧できる時間は採決後の午後1時から翌日の午後5時までの28時間で、寄せられた意見書の撮影や書き写し、内容について口外することは控えるよう求めている。閲覧時には県議会事務局の職員が立ち会う。

 香川県の一連の議論をきっかけに秋田県大館市など、ネット・ゲーム依存症対策について検討を始めた自治体もあり、今後は他都道府県でのネット・ゲーム規制に向けた動きの広がりにも注目が集まりそうだ。

【編集履歴:2020年3月18日午後1時45分 初出時、意見内容の公開時間を4時間としていましたが、正しくは28時間でした。訂正してお詫びいたします】



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