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 若者の間では「おじさん世代」の言葉づかいがしばしばネタになる。LINEなどテキストチャットのやり取りでの話だ。

 絵文字・顔文字が多い。 (^_-)-☆、 (^_^;) のような若者が使わない絵文字・顔文字を使っている。そんなやり取りを、若者は「おじさんLINE」とやゆする。

 絵文字・顔文字だけではない。それらと並んで若者が違和感を持つ、おじさんの書き方がある。それは「、」「。」の句読点をきっちりと打つことだ。

 若者はテキストチャットであまり句読点を打たない。ルーズだからというわけではない。長らくスマートフォンでテキストチャットをしてきた若者は、それに合った「打ち言葉」というスタイルを確立しているのだ。

チャットではメッセージを分けて送っても「一文」と捉えられる
チャットではメッセージを分けて送っても「一文」と捉えられる
(画像:鈴木 朋子)
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 テキストチャットでは用件のみの短文でスピーディーに会話する。若者は読点(、)を打つ代わりに送信ボタンを押し、句点(。)は省略する。こうした、デジタル機器への入力で使われる言葉が「打ち言葉」だ。

 文化庁は2018年3月に発表した「分かり合うための言語コミュニケーション(報告)」で、打ち言葉について「話し言葉の要素を多く含む新しい書き言葉」であると定義した。句点(。)については、テキストチャットをよく利用する大人世代でも省いているかもしれない。

 書き言葉には声の質や高さ、イントネーションといった「パラ言語(paralanguage)」の情報が含まれない。そこで、絵文字や顔文字で感情表現を補完しようとする。LINEの「スタンプ」はその点をうまく補助する役割を担い、サービス全体の普及を後押しした。

 若者は打ち言葉でスピーディーに会話することが基本となっている。そのため、堅苦しい書き言葉に絵文字や顔文字が混在する大人の文章に違和感を覚え、「おじさんLINE」と呼ぶわけだ。