東京でオススメのたい焼き店と言えば? このように聞かれて、「御三家」の名前を挙げる人が多いのでは。麻布十番の「浪花家総本店」、四谷見附の「わかば」、人形町の「柳屋」である。いずれも歴史が長く、シーズンオフともいえる夏場でも、一匹のたい焼きを求めて行列ができることも珍しくない。
もし「御四家」という表現があれば……いや、記者が個人的に気になっている店がある。JR中央線の阿佐ヶ谷駅から徒歩5分ほどのところにある「たいやき ともえ庵」だ。
2011年1月、JR中野駅南口にオープンし、その後、14年11月に現在の阿佐ヶ谷パールセンター商店街に移転。一匹ずつ型を使って強火で焼き上げる「一丁焼き」と呼ばれる製法でつくっていて、口の中に入れると「パリパリッ」といった咀嚼音(そしゃくおん)が聞こえてくるほど、皮が薄い。また、頭から尻尾までぎっしりあんこが詰まっているのが特徴だ。
このように書くと、「うーん、皮がパリッとしているのはいいけれど、あんこがたくさん入っているんでしょ。甘すぎるのは苦手なんだよね」と思われた人もいるかもしれない。大丈夫。甘さを控えるために、オーナーの辻井啓作さんは「何軒もの店に足を運んで、あんこの糖度を計った」という。結果、「味はあっさりとしていて、ペロリと食べることができる」といった口コミが広がり、週末には長い行列ができるほどの人気店に。
……と、ここまで書いて気になったことがある。たい焼き店の前に多くの人が並んでいると、「もうかっていそうだな。ウチでもやってみるか」といった人がたくさん出てきて、同じような店が増えそうだが、そんな気配がうかがえない(正確なデータはないが、全国に140店ほどしかなく、そのうちの60店ほどはチェーン店)。なぜ、一丁焼きのたい焼き店は増えないのか。その謎を解くために、ともえ庵の辻井さんに話を聞いた。聞き手は、ITmedia ビジネスオンラインの土肥義則。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PRアクセスランキング