新型コロナの影響が拡大中 上場企業だけでも45社が業績“下方修正”

» 2020年02月26日 14時58分 公開
[ITmedia]

 新型コロナウイルス「COVID-19」(以下、新型コロナ)感染拡大による日本企業への影響が広がっている。

 東京商工リサーチの調査によると、「決算短信」や「業績予想の修正」「お知らせ」などで新型コロナ関連の影響や対応について発表した上場企業は、2月14日午後1時時点で合計223社に達した。2月10日時点の107社から2倍以上に急増しており、日を経るごとに日本企業への影響が拡大していることがうかがえる。

 また、自主的な情報開示はないが、東京商工リサーチの独自調査で工場や事務所、店舗の稼働休止など何らかの影響が判明した上場企業は28社にのぼった。合計すると251社もの上場企業が新型コロナの対応に追われている。

 合計251社のうち、決算短信や業績予想の修正などで新型コロナの影響に言及したのは193社だった。このうち、構成比23.3%を占める45社が業績の下方修正を明らかにし、売上高や利益の減少など業績下振れの要因として新型コロナの影響を挙げた。他にも、148社(同76.6%)が「影響の懸念がある」、もしくは「影響を確定することは困難で業績予想に織り込んでいない」とした。

新型コロナウイルスの影響・対応(出典:東京商工リサーチ)

 さらに、決算発表時期の延期を明らかにしたり、経営計画の発表を見合わせたりする企業も出ている。新型コロナの収束時期はいぜん不透明であり、企業業績への悪影響が大きな懸念材料になっている。

 251社を業種別にみると、製造業が156社(構成比62.1%)と最も多かった。中国国内の一部の工場や事業所は再開しているが、サプライチェーンの乱れや従業員の不足が深刻化しているという。

 ついで、サービス業24社(同9.5%)、小売業19社(同7.5%)、卸売業17社(同6.7%)、運輸業13社(5.1%)と続く。特に旅行業は中国関連の予約キャンセル、集会やイベント等の中止が大きな懸念材料となっている。

新型コロナウイルスの影響・業種別(出典:東京商工リサーチ)

 また、三越伊勢丹HD、エイチ・ツー・オーリテイリング、松屋の百貨店は、1月の売上高減少を公表した。インバウンド需要の減少などによる、観光・宿泊関連を含むサービス業や小売業などの内需型業種への影響が悪い形で表面化してきている。今後も新型コロナおよび各業界の動向には注視する必要がありそうだ。

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