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着実に進化した新型HHKB「HYBRID」 オタク視点でねっとりとレビュー(1/4 ページ)

» 2020年02月14日 08時00分 公開
[ぺかそITmedia]

 PFUは2019年12月に、PC向けキーボードの「Happy Hacking Keyboard」(HHKB)シリーズをフルモデルチェンジし、無線接続と有線接続に両対応した「HHKB Professional HYBRID」(以下、HHKB HYBRID)2機種と、有線接続のみの「HHKB Professional Classic」を発表した。

「HHKB Professional HYBRID」

 16年に同社初の無線モデルである「Professional BT」(HHKB BT)を発売してから3年ぶりとなる新モデルでは、無線接続のHHKB BTと有線接続の「Professional2」(HHKB Pro2)が統合されたのが大きな変化点だ。

 Happy Hacking Keyboardシリーズは20年以上デザインを大きく変えることなく続いてきたキーボードのシリーズだ。19年度のグッドデザイン・ロングライフデザイン賞を受賞したことからも分かるように、その完成度と実績は高く評価されており、熱心なファンも多い。

 今回発表された中でもフラグシップに位置するのが「HHKB HYBRID Type-S」で、無線有線両対応に加えて高速性と静音性を兼ね備えた「Type-Sスイッチ」を採用している。

 製品のファーストインプレッションは発売当日に伝えた通りだが、今回はHHKBの歴史と合わせてHHKB HYBRIDの詳細なレビューをお届けする。

そもそも「Happy Hacking Keyboard」とは?

 HHKBといえばキーボード好きにとっては高級キーボードの代名詞的存在だが、「知る人ぞ知る」という面もあるため、まずは歴史から簡単に紹介したい。

 初代「Happy Hacking Keyboard」は高性能なコンパクトキーボードとして1996年12月に発売された。東京大学の和田英一名誉教授が考案した「alephキーボード」という配列が基となっている。

HHKBの基になったalephキーボード(配列)(和田名誉教授のサイトより

 同氏の「カウボーイの鞍」という談話は、HHKBファンの間では常識となっているほど有名な話なので、興味のある方は一度読んでみてほしい。「消耗品であるPCに対して、キーボードは“馬の鞍”のように生涯使える大切なインタフェースだ」という考えから生まれたのがコンパクトなalephキーボード配列であり、Happy Hacking Keyboardだ。

 一般的にコンパクトキーボードというと、「変態配列」といわれるような難解なキーの配置になっていたり、キーが小さすぎて打ちづらくなっていたりと、入力しやすさを追求し切れていないキーボードが多い。一方、Happy Hacking Keyboardは無駄を削ぎ落としつつも、入力に必要なキーを最適と思われる位置に配置している。キーピッチも一般的なキーボードの19.05ミリが採用されている。

 基となった配列がUNIX端末を参考にしているだけあって、プログラマーやエンジニアにファンが多い。2004年に日本語配列版の追加があったこと以外は、シリーズを通して配列の変更は一切ないことからも、その完成度の高さとファンからの支持が伺える。

 HHKBのもう一つの魅力が「静電容量無接点方式」のキースイッチを採用しているところだ。03年に発売された最上位の「Professional」モデルから採用されたこの静電容量無接点方式は、滑らかで歯切れの良い打鍵感が特徴で、その独特な軽いタッチと明確なフィードバックが得られる打鍵感は、同じキースイッチを採用するキーボードである東プレ「REALFORCE」シリーズと並んでHHKBを高級キーボードたらしめるものになっている。

 また、静電容量無接点方式は多くの安価なキーボードに採用されるメンブレン方式や、メカニカルキーボードとは異なり、物理的な接点を持たない。そのため摩耗などに対する高い耐久性を誇り、和田英一氏が理想とする「生涯使えるインタフェース」にふさわしい方式といえる。

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