ここにきて、プロ野球以外でもIT企業が続々とスポーツビジネスに参入するワケ 「ITスポーツ第2世代」の狙いに迫る池田純のBizスポーツ(1/3 ページ)

» 2020年02月20日 05時00分 公開
[池田純ITmedia]
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連載:池田純のBizスポーツ

プロ野球・横浜DeNAベイスターズの初代球団社長で、スポーツによる地域活性化などに取り組む一般社団法人さいたまスポーツコミッションの会長を務める池田純氏が、スポーツビジネスの裏側に迫る連載「Bizスポーツ」。第2回は「IT企業はなぜスポーツに参入するのか」をテーマに、“ITスポーツ第2世代”の現在とこれからを探る。

 本連載第1回の最後に記したように、私は今後新たにスポーツビジネスへ進出を始めるIT企業がどんどん増え、東京五輪の後にはその動きが加速すると予測しています。

【参考記事】ソフトバンク、楽天、DeNA ……IT企業とスポーツビジネス  “三社三様”の関わり方

 この1、2年を見ても、次々と大きな動きが出てきました。フリマアプリ大手のメルカリは日本製鉄からJ1鹿島アントラーズの株式を15億円超で、インターネット広告大手のサイバーエージェントはJ2・FC町田ゼルビアの株式を約11.5億円で取得。他にも、スマホゲームの開発や運営を手掛けるアカツキがJ2東京ヴェルディに参画を始め、同じくミクシィはプロバスケットボール「Bリーグ」の千葉ジェッツ船橋の株式の過半を取得して経営に参画しています。

プロ野球以外でも、IT企業がスポーツに参入し始めた(画像はイメージ、出所:ゲッティイメージズ)

 なぜ、IT業界はスポーツに参入したがるのか――。火をつけたのは、やはり横浜DeNAベイスターズしかり、楽天やソフトバンクの“第1世代”の成功でしょう。横浜DeNAベイスターズに関していえば、私が球団社長を務めた5年間で、売上高はほぼ倍増の110億円以上、黒字は10億円以上を計上するまでになりました。この事例によってまずは合理的、論理的思考に長けたIT系企業において、経営的にも「スポーツビジネスはお金にできる」という認識が定着し、その周辺にビジネスを広げていくチャンスが生まれるという考え方が広がりつつあることは、前回の当欄でも紹介しました。

 もう一つの理由は“スポーツの魔力”です。DeNA本社で執行役員を務め、他のIT企業との接点も多い私の経験では、ネットの世界を越えた会社の社会的なステータス、社会的な意義を高めたいという意識が若い経営者や経営層も多いIT業界には強くあるように思います。社会への影響力であったり、日本経済界でのプレゼンスであったり、アスリートら著名人とのつながりがつくれたり、関わっていると社会的ステータスを獲得できるという“魔力”がスポーツにはあるのです。

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