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橋下徹が実践してきた「部下の動かし方」 会議は「獲得目標の設定」を、評価は「見える化」を徹底せよ橋下徹“異端”の仕事術【5】(1/5 ページ)

» 2020年02月21日 02時46分 公開
[橋下徹ITmedia]
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 元大阪府知事・元大阪市長、橋下徹――。彼の名前を聞くと、「政治の世界で仕事をしてきた人間」という印象が強いかもしれない。だが、もともと橋下は有能な弁護士だった。橋下自身も、政治家として力を発揮してきた土台には「民間の世界で身につけてきた仕事の基本がある」と語っている。

 弁護士であるにもかかわらずスーツを着ず、茶髪、Gパン、革ジャンといった個性的な出でたちでマスメディアに出演し、その後は政治家として巨大な役所組織を率いるリーダーとなった。政治家として時には周囲と激しく衝突し、「異端視」されながらも行政改革に奮闘したことは誰もが認めるところだろう。

 行政改革とは、言い換えれば「組織改革」だ。大阪府庁、大阪市庁という組織を変革し、それまで停滞の一途をたどっていた大阪を、圧倒的な実行力で立て直してきた。「適正な組織づくり」という点においては、公的組織と民間組織の間で大きな違いはない。どちらも、組織の意欲や機能性を高め、その組織の使命を実行し、世の中の役に立てていく。つまり、「定めた目標・戦略を実行するために適正な組織をつくる」点では変わらない。

 この連載では新著『異端のすすめ 強みを武器にする生き方』(SB新書)の中から巨大組織を率いたリーダー、橋下徹の仕事や働き方についての考え方をお届けしていく。第5回目は、橋下が実践してきた「部下の動かし方」を中心に、会議や評価の効果的な実施方法を聞いた。

phot 橋下徹(はしもと・とおる)1969年東京都生まれ。大阪府立北野高等学校、早稲田大学政治経済学部卒業。98年、橋下綜合法律事務所を開設。2003年「行列のできる法律相談所」にレギュラー出演開始。08年、38歳で大阪府知事、11年に大阪市長に就任。実現不可能と言われた大阪都構想住民投票の実施や、行政組織・財政改革などを行う。15年、大阪市長を任期満了で退任。現在はTV番組出演や講演、執筆活動など、多方面で活動している

会議は「獲得目標」を明確化せよ

 組織においては、会議に取られる時間が多いと思います。役職がそれなりに高くなれば会議の数も多く、それに費やす時間も長くなります。

 世間では「議題のない会議」「結論が出ない会議」「闇雲(やみくも)に長い会議」「集まるだけの会議」、まとめていえば「無駄な会議」が非常に多いと聞きます。無駄な会議ほど意味のないものはありません。逆にいい会議であれば、自分の商品価値を高めることにつながります。

 僕が大阪府知事・大阪市長を務めていたときは、会議への参加を求められたら、必ずその会議の獲得目標は何かを確認していました。その会議で何を決めるのか、その会議はどのような目的で開かれるのか、僕の判断事項は何なのか、という点をまず明確にしてもらいました。場合によっては、何かを決める会議ではなく、単なる情報共有、報告会の意味合いの会議の場合もありました。

 このように会議の獲得目標を明確にしなければ、ダラダラとよく分からないコメントを出し合う会議になったり、結論が出ない会議になったりします。また、そもそも僕が参加する必要のない会議に参加してしまったりする場合もあります。これは本当に時間の無駄です。

 皆さんが働いている組織ではどうでしょうか。もし心当たりがあるなら、自身が参加する会議の「獲得目標」を必ず確認するようにしてください。あなたが会議の主宰者であれば、あなた自身が獲得目標を明確化する必要がありますが、主宰者でなければ、主宰者にしっかりと問い合わせるところから始めましょう。

phot 何を決める会議なのか、判断事項は何なのかを明確にする必要がある(写真提供:ゲッティイメージズ)
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