引越し難民が起きる構造問題を、引越し業者のマッチングが解決するかもしれない(1/3 ページ)

» 2020年02月21日 07時52分 公開
[斎藤健二ITmedia]

 ここ数年、引越しをしたいのに業者が見つからない、見つかっても非常に高額な料金を請求されるという「引越し難民」が社会問題になっている。3月は引越しのピークシーズンだが、場合によっては2月の今でも引越し業者を見つけるのは難しいかもしれない。引越し難民が発生する背景には何があるのか。そして、解決法はあるのだろうか。

人手不足と働き方改革 業界の構造問題

 そもそも引越し難民が発生する背景は、需要と供給のバランスが悪くなっていることだ。そう話すのは、引越しなど新生活に関わる手続きを代行するリベロの鹿島秀俊社長だ。

リベロの鹿島秀俊社長

 同社は、利用者に代わり複数の引越し業者に見積もりを取るサービスを手掛ける。単に連絡先を業者に伝えるのではなく、訪問などで荷物の量を確認したうえで、複数業者に見積を依頼するので、利用者にとっても引越し業者にとってもムダを省ける。2009年の創業から、すでに200万件の各種手配を手掛けてきた。

 「引越しのような重い荷物を運ぶより、宅配料金も上がって軽い荷物を運ぶほうがもうかるようになった。そして、若者の免許の取得率も下がっている。さらに、働き方改革で、これまで1日に5件ほどの引越しをやっていた業者が、就業規則などのルールが整備されて、1日3件以内に抑えるようになっている」(鹿島氏)

 引越し自体の需要は変わっていないが、人手不足に加えて働き方改革の進展で供給がタイトになってきている。ヤマト運輸の値上げや、レオパレスの施工不良問題に端を発した引越し問題などが、引越し難民に拍車をかけたが、そもそもはこうした業界の構造が要因にある。

 引越し業者はニーズに応えようとギリギリの努力を続けてきたが、それも限界。「ギリギリなんとか……はならなくなってきた。繁忙期では20%くらいをお断りせざるを得なくなってきている」と鹿島氏は業界の現状を説明する。

引越し件数は、3月に全体の23%が集中する。逆に、1、2月はその4分の1以下しかない
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