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「楽天のネットワークはスカスカ」──KDDI高橋社長が牽制、迎え撃ちに自信

» 2020年01月31日 19時51分 公開
[安田晴香ITmedia]
photo KDDIの高橋誠社長

 「楽天のネットワークはスカスカ」――KDDIの高橋誠社長は1月31日に開いた決算発表会で、楽天が4月に本格スタートさせる携帯事業について、このように指摘した。楽天の開設基地数は約3000局(1月時点)であるのに対し、KDDIの基地局は数万局以上あると強調。ただ、楽天は対応エリアが限定的で、最初は加入者が少ないため通信が混雑せず「品質的には良いサービスになるのでは」という見解も示し、「われわれのサービスも準備を怠らず、展開していきたい」と意気込んでいる。

 楽天の参入を迎え撃つKDDIが、携帯事業の目玉に挙げるのは5Gだ。同社は3月に提供を始める計画を打ち出している。料金やプラン体系は検討中で、4G LTEよりも高い料金設定を予定しているという。対応エリアの拡大などサービスの本格化は、今夏から今秋になる見通し。高橋社長は「端末の進化やデータ通信のスピードなど、消費者がメリットを感じやすい点を丁寧に説明していきたい」とした。

 5Gを活用した事業の展開にも力を入れる。19年9月には、渋谷の一部エリアで5Gを活用した実験「渋谷エンタメテック推進プロジェクト」を始めた。専用アプリをインストールしたスマートフォンを渋谷の街にかざすと、商業施設や飲食店情報などをAR(拡張現実)で表示する。

photo 5Gを活用した実験「渋谷エンタメテック推進プロジェクト」を進める

 また、映像・音楽・書籍のデジタル配信サービス「auスマートパスプレミアム」(月額499円、税別)のラインアップを拡充する他、テレビ朝日と共同で20年春以降、独自コンテンツを配信する「ビデオパス」の内容を強化。既存のauユーザーだけでなく、新規顧客の獲得を狙う。

「今後もスマホ決済の合従連衡進む」

 高橋社長が5Gとともに注力分野として挙げたのが、キャッシュレス事業だ。メルペイがスマートフォン決済サービス「Origami Pay」を提供するOrigamiを買収すると発表したことを受け、高橋社長は「今後もスマホ決済は合従連衡(がっしょうれんこう)が進むのでは」との考えを示した。

 KDDIは「au WALLETアプリ」(iOS/Android)を「au PAYアプリ」に2月4日にリニューアルする。2〜3月にかけ、毎週10億円相当のポイントを還元するキャンペーンも実施する。

 また19年12月には、ポイントサービス「Ponta」を手掛けるロイヤリティ マーケティングとの資本・業務提携を発表。KDDIが発行しているポイントを、20年5月をめどにPontaポイントに統一し、スマホ決済「au PAY」の登録者数を600万人超(19年10月7日時点)から増やす計画だ。両サービスを合わせると会員数は1億人以上となり、年間ポイント付与額は2000億円を超える。盤石な顧客基盤を生かしながらユーザーを拡大し、生き残りをかける。

19年4〜12月は増収増益 金融・EC、法人向け通信が好調

 KDDIが1月31日に発表した19年4〜12月の連結決算は、売上高が3兆9025億円(前年同期比3.5%増)、営業利益が8438億円(同2.6%増)、最終利益が5308億円(同5.0%増)と増収増益だった。金融やECなどの「ライフデザイン領域」、法人向け通信事業が好調だった。

photo KDDIが発表した19年4〜12月の連結業績
photo 連結決算の増減要因

 19年4月〜20年3月の通期業績予想は、売上高が5兆2000億円(前年比2.4%増)、営業利益が1兆200億円(同0.6%増)、最終利益が6200億円(0.4%増)のまま据え置いた。

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