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AI・IoTで日本のものづくりを革新――オムロンが品川にFA技術の新拠点 関東・アジア圏を開拓へ(1/2 ページ)

» 2020年01月23日 17時58分 公開
[佐野正弘ITmedia]

 オムロンは1月22日、製造メーカー向けにAI・IoTなどの先端技術を展示する施設「オートメーションセンタ TOKYO」(ATC-TOKYO)を、東京・品川に開設した。工場の生産現場の自動化などを支援する施設。施設面積は1114平方メートルで、同社が世界で展開するATCの中では最大規模を誇る。同社はATC-TOKYOを旗艦施設と位置付け、これまでアプローチできていなかった関東圏やアジア圏の顧客獲得を狙う。

AIやIoTの活用でモノづくりの課題を解決

 コンシューマー向けのヘルスケア関連機器などで知られるオムロンだが、実は工場などの生産現場に用いられる制御機器が売上の約半分を占めるなど、ファクトリーオートメーション(FA)関連事業が収益の柱になっている。それを支えているのが、同社が世界36カ所に展開しているATCだ。ATCでは、生産現場の自動化を支援する技術の紹介や、顧客への技術トレーニングの実施、実証実験のサポートなどを行い、顧客獲得に貢献してきた。ATC-TOKYOは、その37番目の拠点となる。

「オートメーションセンタ TOKYO」のオープンイベントに登壇した、オムロン執行役員の宮永裕副社長(中央)。テープカット用にマニピュレーターを搭載したオムロンのロボットも登場

 22日の記者会見で、オムロン執行役員の宮永裕副社長(インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー社長)は「生産の現場では現在、高度なモノづくりや多品種少量生産へのニーズが高まるなど高度化・複雑化が進んでいる」とし、「日本では少子高齢化による人手不足が大きな課題となっており、その解決のためにはAIやIoT、ロボティクスなどの先端技術を活用した変革が求められている」と語った。

 同社では20万点もの制御機器とソフトウェアを最適な形で組み合わせた170個以上の制御アプリケーションを顧客企業に提供。ロボットアームの自動制御や、画像認識技術による検品作業の効率化などを支援している。

オムロンでは、20万点の制御機器をソフトウェアで最適化した170個以上の制御アプリケーションを用意しているという

 同社の日本国内のATCは中部地方や九州地方など西日本の拠点が多く、関東圏の顧客獲得に弱みがあった。宮永副社長は「日本のど真ん中に拠点を置くことで、(製造メーカーの)本社が多い東京の企業を誘致できる」とATC-TOKYO設立の狙いを語った。

 また、中国などアジア諸国からの集客も期待しているという。具体的には、1年間で600社・3000人をATC-TOKYOに集客し、同施設を経由した制御機器を2年間で55億円分受注する目標を掲げている。

東京拠点を中心に、関東やアジア地域の顧客獲得を狙う

都心に工場の生産ラインを再現し、最新技術を体験

 ATC-TOKYOでは、オムロンが持つ先端技術を融合させた工場の生産ラインを再現している。報道陣向け内覧会では、ロボットが生産設備に部品を運搬する様子などを見学でき、工場の生産ラインさながらの雰囲気を体験できた。

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