“車内快適性”だけじゃない――JR東海の開発者が明かす最新型新幹線「N700S」2つの「真の狙い」東京五輪直前に登場(1/3 ページ)

» 2020年01月23日 04時00分 公開
[河嶌太郎ITmedia]

 JR東海は700系新幹線車両の引退イベントを2020年3月に実施する。同車両は1999年に営業運転を開始して以来、20年にわたって走り続けてきた。

phot 東京駅停車中のN700S外観

 幕引きを迎える700系と引き換えるように、新しい車両が20年から走行を開始する。それは「N700S」だ。東京オリンピック開会前の7月からの営業運転開始が予定されている。N700Sは07年に登場したN700系をベースにさまざまな点が改良されている。

phot N700Sのロゴ。Sは「最高の」という意味である「Supreme」を表す
phot 筆者は列車番号「883」の回送列車に乗り込んだ
phot

N700系以来のフルモデルチェンジ

 JR東海は、このN700Sは07年に登場した「N700系以来のフルモデルチェンジ」と説明しており、13年ぶりの大型更新に位置付けている。実際はその間にN700系の改良型「N700A」が13年2月に登場しており、そこから考えると7年ぶりの車両更新という見方もできる。

 とはいえ、N700Sを見ても、一目でN700やN700Aとの違いが分かる人はほとんどいないだろう。実際に、外見や席数といった基本的な設計はほとんど変わっていない。

 19年10月30日には報道向けに初めて内部が公開された。利用者の目線で見れば、一番変化が大きいのは内装面だろう。具体的にはこれまで壁際しかコンセントが利用できなかった普通車でも全席にコンセントが完備され、また大型荷物スペースの設置や乗り心地の改善など、さらなる車内快適性の上昇を実現した。

phot 普通車外観。全て間接照明なのも特徴だ
phot N700Sでは、普通車でも全ての座席にコンセントが行き渡っている
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