2020年全豪オープンでも活躍か 「女子テニス分析システム」の意外な効果データで変わる女子テニス【後編】

女子テニス協会(WTA)がSAPと開発した分析ソフトウェアの新機能が、2020年の「全豪オープン」に合わせて利用可能になる見込みだ。こうした分析ソフトウェアは選手やコーチにどのようなメリットをもたらすのか。

2020年01月07日 05時00分 公開
[Eric AvidonTechTarget]

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 女子テニス協会(WTA)と大手ソフトウェアベンダーSAPが2019年10月に発表した「Patterns of Play」が、2019年10月開催の「WTAファイナルズ」で公式戦デビューを果たした。WTAファイナルズは女子プロテニスツアーの2019年最後のビッグトーナメントだ。WTAファイナルズでは、選手が最初のサーブ(始球)を打ち、リターン(返球)やパッシングショット(ネット際に近づいてきた相手の脇を抜く打球)を試みた瞬間からデータを集め、リアルタイムに活用できるようにした。

 これを可能にしたのがPatterns of Playだ。SAPはWTAと協力して、WTAツアーに出場する選手やコーチ向けの分析ソフトウェア「SAP Tennis Analytics」を開発した。Patterns of Playは、SAP Tennis Analyticsの新機能だ。

2020年全豪オープンに合わせて新機能もお披露目

 Patterns of Playは、ダッシュボード形式で情報を表示する以下の3機能で構成されている。

  • ラリー(ボールの打ち合い)分析
    • コートを区域に分け、区域別にカスタマイズされた分析結果をコーチや選手が確認できる。選手の打球位置やラリー中の反応を調査するのに役立つ。
  • サーブ時のボールトス(サーブ時にボールを空中に投げ上げること)に関する分析
    • サーブのインパクト(ラケットにボールが当たる瞬間)時に、ボールがラケットのどの位置に当たったかを表示。それがサーブ自体と、その後に展開されるラリーの両方の結果にどのように影響したかを調べるのに役立つ。
  • バウンド・打球分析
    • 一連のボールの動きをデータとして可視化し、ボールを打った場所をコーチと選手が確認できる。これは選手の積極性を評価する上で役立つ。サーブ後に対戦相手がボールをリターンした場所や、そのショット(打球)の成功率も表示できる。

 WTA会長のミッキー・ローラー氏によると、WTAファイナルズで利用できたのはラリー分析機能のみだったという。サーブ時のボールトスに関する分析機能と、バウンド・打球分析機能のお披露目は2020年1月となる見込みだ。その月にテニス大会「全豪オープン」の予選がオーストラリアで開催され、女子テニスの新たなシーズンが始まる。

分析は選手とコーチの関係に影響も

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