SNSは、今や私たちの生活の中に溶け込み必要不可欠な存在となっています。企業側も、マーケティング手法の一環として、情報発信やコミュニケーション醸成に活用するケースが「当たり前」になってきました。一方で、いわゆる「中の人」が存在感を出しすぎたり、消費者との距離感が近すぎたりして「炎上」してしまうケースも出てきています。今、SNS担当者が考えるべきことはどういったことなのでしょうか。 電通メディアイノベーションラボ主任研究員を務め、SNSに詳しい天野彬氏が2回に分けて解説します。
前回は、企業SNS運営の在り方について述べてきましたが、ここで昨今のSNS環境を考えるためのキーワードとして「ファストなコミュニケーション」を紹介したいと思います。
【参考記事】SNS担当者は「中の人」から「そばの人」へ? そのために知っておくべき「3つのM」とは
ファスト(Fast)、つまりSNSのコミュニケーションの特性は「速い」ということです。SNSでは手軽に発信できて、容易に拡散され、みんなが乗っかっていける話題を形成できるわけですが、発信者の数も多いため、個々の発信はすぐに消えてしまいます。ある調査によれば、SNSにおいて、1つの投稿の寿命はわずか数分であるとさえ言われています。
Twitterがファストなコミュニケーションの典型ですが、Instagramも、2016年に登場した「Instagram Stories」機能を利用する人が一般的になってきています。この機能は「ストーリー」と呼ばれ、投稿した画像や動画が24時間後に消えるものです。ストーリーによって、Instagramのファスト化がどんどんと進行しています。
ファストなコミュニケーション一辺倒でいいのか、スローなコミュニケーションも重要ではないのか…といった論点は19年に発売した私の書籍『SNS変遷史』で紹介しています。本稿では、ここまでにとどめるので関心があればご一読ください。
では、ファストなコミュニケーションを企業SNSはどう生かしていくのかという視点で議論を進めます。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PRアクセスランキング