ビジネスの世界で「バランス」とは何か センスの磨き方大きな欠点(1/3 ページ)

» 2019年05月22日 08時00分 公開
[猪口真INSIGHT NOW!]

著者プロフィール:猪口真(いのぐち・まこと)

株式会社パトス代表取締役。


 ビジネスの場面だけではなく、あらゆる人生の場面においてバランスがとれている状態は美しく、間違いなくセンスを感じさせてくれるものだ。

 仕事で、「あいつは仕事はできるのだが勤務態度がダメだ」「プレゼンテーションはうまいのだが、数字に弱い」という評価は、決してありがたいものではない。

 もちろん、バランスが取れているというのは、低いレベルで取れていても意味はなく、高いレベルでバランスが取れているということだ。

 半面、「何事にも中途半端な人生は送りたくない」「極端な生き方こそ魅力ある」「何かひとつに打ち込む姿こと美しい」「人とは違う能力こそが求められていることだ」という見方もある。何かに特化したスキルや能力こそが厳しい時代のなかでは必要なことだろう。特化した領域で自分を賭けてみることは、本人の自由だし、チャレンジ自体は悪いことではない。何か強力な取り柄は、私たちのビジネスの成功を助けるし、誰にも負けない専門領域を持つことは歓迎すべきことだ。

 ただし、我々の生きるビジネスの領域では、少なくとも、何かひとつ大きな欠点があること、あるいは、ある事柄への執着のし過ぎや行動の極端な偏りといったことのほうが、仕事で失敗したり、信頼を失ってしまうことのほうが多いと感じる。(スーパースターと仕事する機会が少ないとも言えるが)

 食事や運動もそうだ。バランスの取れた栄養や運動が体にいいのは誰でも分かっていることだ。

 すべてをバランスのとれた視点によって判断し、さまざまな活動をバランスよくこなしたうえでの「得意技」を持つことが何より重要だ。だから、企業は新人に対して、学生時代に失ったバランスを取り戻すために、多岐にわたった新人研修やトレーニングに力を入れる。

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