「私たちは、なぜITを使うの?」と聞かれたら、答えられますか?半径300メートルのIT(1/3 ページ)

皆さんは、普段「IT」と聞くと何をイメージしますか? 普段会社で使うPCや業務システムから、毎日持ち歩くスマートフォンなど、毎日使うものだけでなく、今回は私たちが忘れがちな“ある視点”を思い出してほしいのです。

» 2019年05月14日 08時00分 公開
[宮田健ITmedia]

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 皆さん、唐突ですが、本連載のタイトル「半径300メートルのIT」という言葉にどんなイメージを抱きますか? 実はこれ、ITと聞くと思わず拒否反応を示してしまうような人にも、「スマートフォンをはじめとするITが身近に存在していて、それなりに使われている現状からまずは考えてもらえれば」という意味を込めて付けられています。ただし、ここで私が皆さんと一緒に考えたいことは、ITだけではありません。むしろ、それを使う私たち、つまりユーザーとしての姿勢を、ぜひ振り返っていただきたいのです。

 今回は、私が体験して学んだユーザーとしての姿勢の一例を、皆さんご存じの“あのデバイス”を使ってご紹介しましょう。

 最近、私はITが存在する理由を改めて考える機会が増えました。長年IT業界について書いてきましたが、かつてPCが一部のマニア向けでしかなかった時代は過ぎ、もはやITは誰もが接するもの。そうなると、ITの役割はただ「何かを便利にする」というものから、「親しみやすく、それがあることで利用者に明確なメリットを提示してくれるもの」に変わっていくかもしれません。

 例えば、相変わらずむやみやたらに新しいITガジェットについて調べる私ですが、「それを買ったら、自分の生活変わるかな?」と考えるようになりました。そうすると、自分の購買欲さえコントロールできるから不思議です。

スマホ依存を克服したい!――「Apple Watch」を買って試した結果

 その指針にのっとり、2017年初頭、私はあるデバイスを購入しました。それは「Apple Watch」。ITmediaの記事でも大絶賛されていたApple Watchの2代目「Apple Watch Series 1」を、なんとなく購入してみました。

 当時、製品レビューでも取り上げられていたApple Watchの“売り”は、手首に付けた同製品の機能をフル活用すれば、いちいちスマートフォンを取り出さなくてもよくなるという点でした。私自身はスマートフォン中毒的な面もあるので、「できる限りスマートフォンを取り出さずにいろいろな通知が見られるのなら、きっと生活が変わるはずだ!」と思って購入したわけです。

 その結果……残念ながらスマートフォン依存は変えられませんでした。当時既にApple Watch対応のアプリはたくさんありました。また、自分のスマートフォンに来た通知を見られる点は有用でしたが、あの小さなディスプレイでは操作が難しく、それ以上のことができなかったのです。

 結局スマートフォンそのものを見てしまうことが増え、私のApple Watchは数カ月使われた後、ずっと押し入れにしまわれたままになってしまいました。もしも「Apple Watch Series 2」なら、電子マネー端末としても活用できたのでしょうが……。しかし、それから数年後、思わぬきっかけで、私はApple Watchを見直すことになります。

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