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ノートPCをなくしたら6億円の被害? ワンビとさくらインターネットがPC紛失時の情報漏えい対策で協業専用SIMでリモートワイプ

» 2019年05月16日 17時03分 公開
[ITmedia]

 働き方改革関連法の施行に伴い、企業ではモバイルワークや在宅勤務など、より自由な働き方を支援する取り組みが進められている。ただ、業務用端末を日常的に持ち運べば、その分端末の紛失や盗難などによる情報漏えいリスクは高まる。また、企業にとっては通信料金の増大も課題の1つだ。

 NPO日本ネットワークセキュリティ協会の発表によれば、情報漏えいの原因は不正アクセスやマルウェアといった第三者による攻撃よりも、管理ミスや誤操作、紛失・置き忘れなど人為的なミスによって引き起こされる方が多く(2016年情報セキュリティインシデントに関する調査報告書)、社内ルールでの規制には限界がある。

 また、情報漏えい1件当たりの平均想定損害額(漏えいから1週間放置した場合の想定)は6億2811万円にものぼり、テレワークを推進する企業にとって、こうしたリスクへの対策は緊切の課題といえる。

PCの紛失・盗難対策がテレワークの課題

 情報漏えい対策ソリューション「TRUST DELETE prime」を提供するワンビの加藤社長は、最近になってテレワークの導入に伴うセキュリティ対策の問い合わせが増えていると話す。「これまでは業務用端末としてノートPCを使っていても、持ち出し禁止の社内ルールで運用されている企業が多かったが、ノートPCを外で使うことが一般的になり、ここ2年ほどは働く意識が変わっている印象がある」(加藤氏)

 こうした企業の変化を背景として、同社はさくらインターネットとの協業を発表。従来のTRUST DELETE primeを拡充する「TRUST DELETE prime with さくらのセキュアモバイルコネクト」を2019年8月から提供する。

ワンビ代表取締役社長の加藤貴氏(左)とさくらインターネット代表取締役社長の田中邦裕氏

 TRUST DELETE primeは、PC紛失時にリモートで端末をロックしたり、データを消去したりできるサービスだが、TRUST DELETE prime with さくらのセキュアモバイルコネクトではLTE対応PC向けにSIMを提供し、通信にさくらインターネットのLTE閉域網を利用する仕組み。例えば、PCが紛失した際にシステム管理者がリモートワイプの実行命令を送れば、安全にほぼリアルタイムでPC内のデータが消去される。

 LTEに対応したノートPCや2in1デバイスが増える中、「情報漏えい対策(TRUST DELETE prime)のためだけにLTE通信を使っている企業もあり、通信コストの負担が大きな課題になっている。TRUST DELETE prime with さくらのセキュアモバイルコネクトを使えば、こうしたコストを10分の1程度まで削減できる上に、今まで以上に安全なデータ漏えい対策が行えるはず」(加藤氏)

PCを紛失した際にリモートロックやリモートワイプが行えるTRUST DELETE primeのサービスと、閉域網で通信速度制限なしの低価格モバイルネットワークサービス(さくらのセキュアモバイルコネクト)を組み合わせて提供
テレワークを検討する企業が増え、LTE対応ノートPCの導入も進んでいる

 TRUST DELETE prime with さくらのセキュアモバイルコネクトの1ライセンス当たりの年間サービス利用料は1万530円(税別)。2020年末までに3万ライセンスの販売を目指す。

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