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ハウステンボス、家庭用ロボット発売 変なホテル宿泊客の“不満”受けて開発

» 2019年04月16日 11時38分 公開
[片渕陽平ITmedia]

 ハウステンボス(長崎県佐世保市)は4月16日、ぬいぐるみの姿をしたコミュニケーションロボット「TELLBO」(テルボ)を5月31日に発売すると発表した。「一人暮らしの高齢者がTELLBOにメッセージを吹き込み、離れて暮らす家族に届けてもらう」といった用途を見込む。メッセージの送受信などに機能を絞った上で、ぬいぐるみの見た目を“着せ替え”できるようにし、親しみやすいよう工夫した。本体価格は3万9600円(税別、以下同)で、月額1290円の通信料が別途かかる。

photo コミュニケーションロボット「TELLBO」。円筒形(写真右下)の本体をぬいぐるみの中に入れて利用する

 ぬいぐるみの腹部にあるクマの形のマークを押すとメッセージを録音し、事前に連携した家族のスマートフォンに送信。遠く離れた場所にいる家族が、専用スマホアプリ(iOS/Android)上でメッセージを受け取り、文字入力か音声入力で返信する。そして、家族から届いたメッセージをTELLBOが読み上げる――という仕組みだ。家族側では、スマホアプリ上のメンバー招待機能を使い、やりとりを共有するグループも作れる。

 TELLBOはSIMカードにも対応し、家庭にWi-Fi環境がなくても、電源につなげばそのまま使える。ぬいぐるみの中に入れる本体のサイズは、約90(直径)×約150(高さ)ミリ、重さが約280グラム。ぬいぐるみを含めたサイズは、約230(幅)×約300(高さ)×約190(奥行き)ミリ、重さが約160グラム。カラーは茶色と黄色を用意する。

 TELLBOの本体価格は3万9600円、通信料は月額1290円。両者をセットにした月額2980円(2年間の分割払い)のプランも用意する。

 自宅のドアに取り付け、開閉の振動を検知するセンサーも1つ付属する。ドアを開くと、TELLBOが声を発して知らせる他、連携するスマホにも通知し、離れた場所から家族を見守るのに役立つ。センサーは単四電池2個で動く。部屋の温度や湿度、人の接近、鍵の開閉を検知する別売りのセンサー(3980円)も含め、最大8個まで接続できる。

 開発には、ロボットベンチャーのユカイ工学(東京都新宿区)、ぬいぐるみのデザイン・製造を手掛けるティーエスティーアドバンス(神奈川県三浦市)が協力。ユカイ工学がコミュニケーションロボット「BOCCO」(ボッコ)の開発で培ったノウハウも活用した。

「頭が悪い」不満の声を受け開発

 ハウステンボスの澤田秀雄社長は「(同社は)ロボットが接客する『変なホテル』からロボット事業を始めたが、当初は来客から『頭が悪い』と不満を言われた」「改良版を作るなら、家庭で使えるようにできないかと考え、ようやく完成した」と話す。初年度で2500台、トータルで5000台の販売を目指す。

 澤田社長は「他のロボットも開発をしており、数カ月後には発表したい。将来は(ロボット事業を)数百億円、数千億円規模に成長させたい」と意気込みを語った。

photo 左からハウステンボスの富田直美CTO、澤田秀雄社長、事業開発室の武富浩一郎氏、ユカイ工学の青木俊介CEO

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