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ソニーのおもちゃ「toio」、プレステのノウハウでパワーアップしていた体当たりッ!スマート家電事始め(1/3 ページ)

» 2019年04月11日 07時00分 公開
[山本敦ITmedia]

 ソニーの新規事業創出プロジェクト「SAP」(※)から2017年に発表されたスマートトイ「toio」(トイオ)が、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)の商品として3月20日に一般発売を迎えた。事業が移管された理由とそれによって変わったこと、今後の戦略について、toioの商品企画を担当する田中章愛さん、toio専用タイトルのプロデューサー、小番芳範さんに話を聞いた。

ソニー・インタラクティブエンタテインメントの田中章愛さん(写真=右)と小番芳範さん(写真=左)

※「SAP」(Seed Acceleration Program)は、ソニーが新規事業立ち上げのため、5年前に立ち上げたプログラム。今年2月、その枠組みを社外にも提供する「SSAP」(Sony Startup Acceleration Program)を開始した

 toioの価格は1万6980円(税別)。当初に見込まれていた販売価格は2万円前後だったので少し買いやすくなった。2018年4月に事業がSIEに移管され、生産・販売のノウハウを得て、より戦略的な価格設定が実現できた格好だ。またtoio専用タイトルには小番氏がプロデュースした新作「GoGo ロボットプログラミング〜ロジーボのひみつ」(5980円、税別)が加わった。

3月20日に発売されたソニーのスマートトイ「toio」

 toioでできることは発表当時から大きく変わっていないため、製品の全体像については前回のインタビューを参照してほしい。

新しいtoioはどこが変わった?

 まず、事業がSIEに移管された経緯を田中さんに聞いた。

 「事業の移管を決めたのは、toioのビジネススケールをさらに広げ、専用タイトルのラインアップを増やすための“足場作り”に力を入れるべきと判断したからです」(田中さん)

 toio発表時はソニーグループ内の反響も大きかった。その後、グループ全体でtoioを大きな事業に育てるべきと判断され、SIEへの事業移管が実現したという。では、3月に発売されたtoioはどんなところがブラッシュアップされたのだろうか。

 「SIEの設計開発チームの知見を借りられるということで、改めて商品の細部を使いやすくするために改良しました。2018年初にFirst-Flightで購入された方の要望、イベントにtoioを展示した際に寄せられた意見も参考にしています」(田中さん)

 toioを構成するシステムは、中心となる「toioコンソール」と2つのリング型コントローラー「toioリング」、モーターと車輪で動き回る2台の「toioコア キューブ」。このうちコンソールは、昔のゲーム専用機のように天面縦向きに設置されていた専用カートリッジの差し込み口が本体側面に移動、横向きに挿す仕様とした。これは破損の危険を減らすためだ。

toioコンソールはカートリッジを側面から挿す形に変更されている

 toioリングは多くの部分をチューニングし直した。例えばリングを手に持った際、内側の人差し指の位置にくるボタンは出っ張りを付けて押しやすくした。コンソールとの間をつなぐケーブルは柔らかくして取り回しが良くなった。筆者も取材の時に実機を触っているが、コントローラーのハンドリングは明らかに良くなっていると感じた。

コントローラーのtoioリングは様々な改良を加えた。ケーブルも柔らかくなって取り回しが良くなった

 toioコア キューブは、底面に配置する車輪と本体の間にゴミが入りにくいようにギャップを狭くして走行性能を安定させた他、底面にある電源ボタンはスライド式からプッシュ式に変更している。また発表当初のコア キューブとリングコントローラーには3軸加速度センサーが入っていたが、最新版にはジャイロセンサーを加えた「6軸センサー」と光学センサーが採用されている。より細かく正確に座標を捉えるためだ。

2台のtoioコア キューブが付属する。ホイールや電源スイッチの仕様は変更した

 なおFirst-Flightで先行予約版を購入したtoioオーナーのために、ブラッシュアップされた最新のtoioに無償で交換できるサービス「toio無償交換プログラム」が始まった。2019年6月までは(6月30日までの到着分)、新しいtoio専用タイトルの「GoGoロボットプログラミング」が付いてくる。

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