企業が人材を引き付け、理解する手段を求め、従業員の職場環境を向上しようとするに伴い、人事テクノロジーが猛烈な速度で成長している。本稿では、人事テクノロジーのこうした状況を見ていく。
現代の企業が人材獲得競争に勝利するには、できるだけ早く人事テクノロジーの最新トレンドを把握し、自社に必要なテクノロジーを理解する必要がある。実際、人事部門は、これまでにない速度で進化するテクノロジーに混乱している。
Forresterでプリンシパルアナリストを務めるポール・ハマーマン氏は、アナリスト兼アドバイザーとして30年以上の経験を持つ。同氏は、ここ数年、人事テクノロジーがこれまでにない速さで進化していると感じている。
ハマーマン氏は、2018年も人事テクノロジーの成長はすさまじいと見ている。AI(人工知能)が搭載され、消費者向けのアプリケーション/サービスの機能は発達を続け、企業は現従業員と採用候補者について、これまで以上に広範かつ詳細な洞察を得られるようになると予測する。
HR Technology Conferenceの共同議長を務める人事コンサルタントのスティーブ・ベーゼ氏もこの見方に同意する(TechTargetはHR Technology Conferenceのメディアスポンサーになっている)。「10年近くにわたり人事テクノロジーについて議論してきたが、そのテクノロジーの多くがようやく成熟しつつある。今後数年すれば、単に人事システムを改良するものではなく、より多くのビジネス価値を投資から引き出す方法に重点を置いた人事テクノロジーが現れるだろう」(ベーゼ氏)
ベーゼ氏やハマーマン氏をはじめとする業界関係者によれば、市場には、従業員の生産性を測るプログラムから、セクハラの報告を従業員から集めるチャットbotまで、企業にとって「必携」(少なくとも「要検討」)の人事テクノロジーが幾つかあるという。
ここからは、要注目の人事テクノロジートレンドを4つ紹介する。
ベーゼ氏によれば、長年、企業は人材を採用する際、業績優秀な従業員と同様の職歴や学歴を有する人材を集めることで生産性の向上を図ってきたという。それが現在では、人事テクノロジーの分析機能を使って、これまで把握や追跡が困難だった仕事の側面をはっきりと知ることができるようになり始めている。「プログラムでは、従業員が従事しているプロジェクトの種類や一緒に作業しているメンバーの他、従業員の考えや感情を個人レベルで調査している」(ベーゼ氏)
従業員を理解するには、業績の効果的な測定が重要になる。そのため、継続的業績管理テクノロジーが企業の関心を集めている。名前が示すように、このテクノロジーは業績を継続的に測定し、即座にフィードバックを返す。昔は評価を実施し、フィードバックを返すのは年末だけだったとハマーマン氏は指摘する。BetterWorks、HighGround、Latticeなどが提供するサービスは、こうした評価プロセスを自動化する。これを利用して、上司と部下が積極的にデータを共有して業績目標を議論することで、部下は業績をすぐに微調整できるようになると同氏は話す。
ISG(Information Services Group)のパートナーで、人事テクノロジー実践を主導するデブ・カード氏は、従業員の感情の把握を試みるプログラムへの注目が高まっていると話す。その例として、同氏はUltimate Softwareを挙げた。Ultimate Softwareは自然言語感情分析テクノロジーを使用して、アンケートへの従業員の回答からその真意を明らかにするソフトウェアを提供している。
分析テクノロジーは、同様にして採用候補者を的確に見極めることも目的としている。AIを搭載するソフトウェアは、データ収集アルゴリズムを作成して、企業の採用目標に合致する候補者を特定できるとCEB(現Gartner)で人事実践リーダーを務めるブライアン・クロップ氏は語る。一例を挙げると、HiQ Labsは、LinkedInやTwitter などのソーシャルメディアに公開されているデータをスキャンして、転職についてほのめかす(または公言する)利用者を予測している。
ハマーマン氏は地元紙(米バージニア州のRichmond Times-Dispatch)で最近、Martin Agencyという地域広告会社に関する記事を目にした。その記事によると、同社では重役がセクハラ疑惑で辞職後、従業員から意見や報告を受け付けるアプリケーションを使用するようになったという。
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