NOR型とNAND型のフラッシュメモリは、それぞれ適する用途が異なる。フラッシュストレージの導入を検討している企業は、選定前に両者の違いを知っておく必要がある。
フラッシュメモリの基本的な選択肢は、主にプログラム格納用途で利用されるNOR型と、主にドキュメントや画像といったデータ格納用途に利用されるNAND型の2つに絞られる。適切なフラッシュメモリを選択するには、入出力のパフォーマンス、ピン数、データの完全性(欠損がないこと)、耐久性などの各要件を的確に理解しておく必要がある。
「適切な手段は、最終的には応用方法の要件によって決まる」。こう語るのは、半導体大手Micron TechnologyでNOR型フラッシュメモリ製品ラインのディレクターを務めるリチャード・デカロ氏だ。フラッシュメモリを積載するストレージの接続インタフェースや容量の要件についても検討する必要があると、Micron Technologyの主任技術者スコット・シャドリー氏は説明する。「こうした要件が、この2種類のフラッシュメモリの大まかな違いを表している」(シャドリー氏)
NOR型フラッシュメモリはNAND型と比べて読み取りが高速だ(表1)。アドレス指定による各メモリセル(1ビットを記録するメモリ素子)へのアクセスを可能にするランダムアクセス機能も提供する。
NOR型フラッシュメモリ | NAND型フラッシュメモリ | SRAM | DRAM | |
---|---|---|---|---|
不揮発性(電源を切ってもデータを保持すること) | ○ | ○ | × | × |
読み取り速度 | 高速 | 低速 | 非常に高速 | 高速 |
書き込み速度 | 低速 | 低速(NOR型よりも高速) | 非常に高速 | 高速 |
HPC(高性能科学技術計算)ベンダーのPSSC Labsでエグゼクティブバイスプレジデントを務めるアレックス・レッサー氏によれば、NOR型フラッシュメモリは、スマートフォンなどのデバイスで実行するプログラムを格納する「コードストレージ」の用途に適している。一方でデータの書き込みや消去が低速なため「HPCには適していない」とレッサー氏は指摘する。
NOR型フラッシュメモリは、主にメモリインタフェースの設計によって2つに大きく分類できる。データを1bitずつ転送(シリアル転送)するシリアルと、複数ビットを同時に転送(パラレル転送)するパラレルの2つだ。
デカロ氏によると、シリアルNOR型フラッシュメモリは読み取りが高速で、消去ブロック(ブロック:複数のメモリセルを束ねた「ページ」をさらに複数まとめた処理単位)のサイズが小さい。プログラムを展開して実行する「シャドーイング」や、粒度の細かいデータを格納する用途に適している。
シリアルNOR型フラッシュメモリは信号ピン数が少なく、小さなパッケージに収まっているため、デスクトップPC、サーバ、ノートPC、無線LANルーター、プリンタなどに適しているとデカロ氏は言う。Blu-ray Discプレイヤー、ウェアラブルデバイス、スマートメーター、自動車の高度運転アシストシステムなどに利用されることもある。
パラレルNORフラッシュメモリは、システムのブート時間を短くする。デジタルカメラ、ネットワークルーター、ネットワークスイッチ、医療システム、セットトップボックスなど、高いパフォーマンスを求められるデバイスや用途に適しているとデカロ氏は話す。
Samsung Electronicsでメモリおよびストレージのマーケティング担当ディレクターを務めるリチャード・レオナルツ氏によると、NAND型フラッシュメモリのメリットには以下のようなものがある。
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