SSD市場の主流に躍り出るNVMe SSDストレージ、なお残る課題は?さらなる“次世代”も視野に

ストレージベンダーは、「NVMe」がSSDの業界標準の接続規格になるとの見解で一致している。だが、NVMeにはコストや構成の課題があり、それらが克服されなければならない。

2018年01月12日 05時00分 公開
[John EdwardsTechTarget]

 専門家は「NVMe」(Non-Volatile Memory Express)SSDストレージが主流のSSD製品になると予想している。

 SATA(Serial ATA)SSDでデータ転送に使われるハードウェアメカニズムであるAHCI(Advanced Host Controller Interface)とは異なり、NVMeプロトコルは、ソリッドステートメモリを管理するために一から設計された。フラッシュベースの技術に最適化したNVMe SSDはAHCI SSDに取って代わる見込みだ。

 NVMe SSDストレージはデータストレージ市場にとって、AHCI SSDより広範な機能強化や最適化が施された製品だと、ストレージベンダーのWestern Digitalで製品マーケティング担当シニアディレクターを務めるウォルター・ヒントン氏は語る。

 「NVMe SSDは、現在および将来のソフトウェアから得られるメリットを大幅に高めてくれる」(ヒントン氏)

SSDの可能性を実現

 「企業は、SSDのパフォーマンスに関して真の恩恵を受けたければ、PCIe(Peripheral Component Interconnect Express)インタフェースを活用できるNVMe SSDストレージの導入を進めなければならないことを認識している」と、ITサービスプロバイダーであるPhoenixNAP Global IT Servicesのイアン・マクラーティ社長兼CEOは語る。

 同氏の説明によれば、NVMe SSDはPCIバスに直接接続でき、CPUに可能な限り近づけることができる。

 これまで、SSDのパフォーマンスの足かせとなっていたのは、SATAインタフェースだ。SATAでは実効データ転送速度が約600MB/秒にとどまるからだ。

 「AHCIも、SSDの特性を生かせない要因となっている。AHCIでは、ヘッドが移動して、回転するプラッタ(ディスク)にデータを読み書きするHDDの限界が考慮されている。このため、コマンドに制限があり、レイテンシも長い」と、ソフトウェア定義型ストレージ(SDS)ベンダーのStorMagicで技術サービスディレクターを務めるルーク・プルーエン氏は指摘する。

 NVMeは、SATAやさらにはSAS(Serial Attached SCSI)接続よりも帯域幅がはるかに広いPCIeやM.2のような技術を利用してSSDを接続し、SSDの特性を生かせるように設計されたプロトコルだ。

 「NVMeではフラッシュストレージの強みを引き出せるので、リクエスト当たりのデータが多く、リクエストのデコード時間が短縮される他、スレッドのロックも不要になる」(プルーエン氏)

 さらにNVMeは、次世代ストレージメディアの登場に道を開いている。

 「SCM(ストレージクラスメモリ)はエンタープライズストレージ市場に出回り始めたばかりだが、いずれはSSDに完全に取って代わる可能性がある」と、Dell EMCの副社長兼フェローのダン・コッブ氏は語る。現在はほとんどの企業がSSDでNVMeを使用しており、これによって低レイテンシというメリットを享受しているが、こうしたNVMe SSDはコストが高い。「Intel OptaneのようなSCMは、NANDフラッシュよりはるかにレイテンシが低く、次世代ストレージとして大きな可能性を秘めている」(コッブ氏)

NVMeのさまざまなメリット

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