テープ新規格「LTO-8」は速度、テープ送り、耐久性、容量の全てが進化 その適用範囲は?1カートリッジで32TB格納

次世代テープ規格「LTO-8テープ」は、これまでにないほど膨大な量のデータを格納して保護したいと考えているあらゆる規模の企業にとっての好機となる。

2018年01月09日 05時00分 公開
[Jon ToigoTechTarget]

 2017年夏、世界各地は数々の気象災害に見舞われた。この事態を受けて、ビジネスを継続するためには堅実な戦略が必要であるという注意喚起が促された。可用性の高いアーキテクチャが古き良き災害復旧計画の代替になるという無意味な考えに甘んじていた企業は、窮地に追い込まれている。自社から数キロしか離れておらず、同じ災害に見舞われる運命にあるホスティング企業で管理されるクラウドベースの災害復旧サービスを使用している企業も同様だ。

 ただし朗報もある。手ごろな方法で信頼できるデータのコピーを作成して、遠く離れたオフサイトのストレージにデータを保管するテクノロジーは存在する。それがテープ規格の「LTO」だ。LTOはメーカーに関係なく、ほぼ全てのライブラリと互換性がある。そして、速度、テープ送り、耐久性、有効期間、容量が進化している。

 まだ「LTO-7」が現役であるにもかかわらず、一部のベンダーは、既に次世代「LTO-8」に取り組んでいる。ただしLTO-8テープドライブの大量生産は始まっていない。LTO-8は、大企業と産業用クラウドというニッチ市場を対象にしているという意見もある。LTO-7の価格は、6TBのカートリッジ(圧縮時15TB)当たり100ドルだ。そのため、LTO-7は中堅・中小企業を対象にする最後の世代になる可能性がある。

LTO-8はニッチ市場にあらず

 LTO-8テープドライブの容量は、非圧縮時12.8TB(圧縮時32TB)、データのスループットは非圧縮時472Mbps(圧縮時1180Mbps)にそれぞれ増加している。

 まず現在、数TB規模のデータストレージを使用している企業はないだろう。中堅・中小企業でも数百TBからP(ペタ)B規模のストレージを使用している。そして以前、数十PB規模のストレージに不満を持っていた大企業に至っては、E(エクサ)B規模のリポジトリを使用しているのが現状だ。IDCなどの調査会社によると、膨大な量のデータを生成して保持している企業は、数十Z(ゼタ)Bを超えるサイズのリポジトリを使用しているという。そして2025年までには1年に163ZBの新しいデータを生成するようになるとアナリストは予想している。

 つまり、32TBというLTO-8の容量は、テープテクノロジーを活用する可能性の高い企業がまさに必要としているものであるようだ。具体的には、ヘルスケア、監視機関、調査機関、石油、ガスなど、クラウドや多くのデータを利用する業界だ。このような企業は、セカンダリーストレージとしてテープを再び利用するようになっている。

テープが担う特別な役割

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