macOSに“パスワードなしでrootになれる”脆弱性、悪用されたら何が起きていたのか?「Twitterで手口公開」に批判も

Appleの「macOS High Sierra」に、完全な管理者権限をもつユーザーとしてシステムにログイン可能になる脆弱性が見つかった。既に修正済みのこの脆弱性を攻撃者が悪用すると、どのような被害につながったのか。

2017年12月14日 05時00分 公開
[Michael HellerTechTarget]

関連キーワード

Apple | 脆弱性 | Mac


画像 macOS High Sierraに存在していた脆弱性の脅威とは

 AppleのクライアントOS「macOS High Sierra」に存在していた脆弱(ぜいじゃく)性は、攻撃者が一切の認証手順を回避し、完全な管理者権限をもつユーザーとしてログインすることさえ可能にするものだった(現在は修正済み)。

 このセキュリティ問題が脚光を浴びたのは、決済システムを手掛けるトルコのベンダーiyzico Payment Servicesのアジャイルソフトウェア開発者、レミ・オーハン・アージン氏が、ミニブログ「Twitter」へ2017年11月28日に投稿したツイート(つぶやき)が発端だった。

 アージン氏はTwitterでAppleに対し、標的とするシステムに物理的にアクセスできる人物なら誰であれ、「ログインボタンを何回かクリックすると、パスワードが空欄のままでも、管理者権限を持つユーザーである『root』としてログインできてしまう」という認証回避問題を認識しているかどうかと問い掛けた。

 この問題が指摘されたのは初めてではなかった。アージン氏はオンラインメディア「Medium」への寄稿の中で、2017年11月23日に同氏の勤務先のインフラチームから、macOSのこの脆弱性のことを知らされたと説明。Apple製品の開発者コミュニティー「Apple Developer Forums」では、同月13日からこの問題に言及する投稿があったことを明らかにした。

 「責任ある開示のガイドラインに従わなければ、あらゆる人にとってのリスクを増大させる」。変更管理製品ベンダーTripwireの製品管理・戦略担当副社長、ティム・アーリン氏はこう語り、アージン氏のTwitterへの投稿を批判する。今回のような情報が一般に公開されれば「特に重大な脆弱性の場合、悪意ある攻撃者の間で可能な限り広範囲に情報が拡散されるのは確実で、パッチが公開される前に攻撃を急ごうという気を起こさせる」(アーリン氏)。

 セキュリティ組織SANS Instituteのインターネット早期警戒プロジェクト「Internet Storm Center」(ISC)のセキュリティコンサルタント、ザビエル・マーテンズ氏は、この問題について警戒を促す中で、当面の対策としてrootユーザー用のパスワードを設定する方法を紹介した。

 Appleは2017年11月29日、macOSのこの問題を修正するためのパッチを公開し、クレデンシャル(ID/パスワードなど認証に必要な資格情報)の検証にロジックエラーがあったと説明。この問題は「クレデンシャルの検証を強化することで解決した」という。

脆弱性を突かれた後に起こること

会員登録(無料)が必要です

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

製品資料 ゼットスケーラー株式会社

Microsoft Copilotを安全に利用するために押さえておくべきベストプラクティス

Microsoft Copilotが従業員の生産性と創造性を向上させる新たな選択肢となる一方、テナントデータへの無制限なアクセスなどデータ保護に対する懸念は大きい。安全な利用のために押さえておくべきベストプラクティスについて解説する。

製品資料 ゼットスケーラー株式会社

内部と外部からのデータ流出を防ぐ、AIを活用したデータ保護戦略とは?

昨今、サイバー犯罪による被害額が増大している。その最大の要因といわれているのがデータの流出だ。分散するデータを適切に保護するには、場所や状態を問わず効率的に保護するデータ保護基盤が必要になる。

製品資料 株式会社日立システムズ

サイバー攻撃の標的は中小企業へ、企業規模に見合ったセキュリティ対策とは

サイバー攻撃の標的は中小企業へとシフトしているが、当該企業では危機意識が薄く、セキュリティ投資をしていない企業は6割に及ぶ。そこで本資料では、中小企業にとって導入しやすい次世代セキュリティソリューションを紹介する。

製品資料 Absolute Software株式会社

現代セキュリティの要、「アクセス」を適切に制御できるゼロトラストの条件とは

社内外を問わずユーザーに安全なアクセスを提供する手段として、まず名前が挙がるのが「ゼロトラスト」だ。幅広い機能を有しているため見極めが難しいと思われがちだが、ITレビューサイトに寄せられた声から見極めのポイントが見えてきた。

市場調査・トレンド キヤノンマーケティングジャパン株式会社

有識者が語る、中堅中小企業に求められる最新のサイバーセキュリティ対策とは

中堅中小企業を狙うサイバー攻撃が増加する中、2025年に可決された能動的サイバー防御に関する法案により、サイバーセキュリティ対策の高度化が求められている。本資料では、有識者の対談を通じて、いま企業に必要な対策を紹介する。

アイティメディアからのお知らせ

From Informa TechTarget

なぜクラウド全盛の今「メインフレーム」が再び脚光を浴びるのか

なぜクラウド全盛の今「メインフレーム」が再び脚光を浴びるのか
メインフレームを支える人材の高齢化が進み、企業の基幹IT運用に大きなリスクが迫っている。一方で、メインフレームは再評価の時を迎えている。

ITmedia マーケティング新着記事

news017.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news027.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...