事業計画、業務運営、将来予測のためにメトリクスや分析技術を用いることは適切だが、それだけでは不十分だ。現代において、最適化が必要なリソースは、労働力だ。
多角化が大きく進んでいる企業でも、予定通りに運営を進め、グローバル市場で競争に打ち勝つためには、メトリクス分析が欠かせない。その企業が抱える資産の中で、分析によって最適化する価値が一番高いのは労働力だ。
人事部門でメトリクス分析を行い、従業員の能力を記録し、見極めるために適切なデータを集めることは、在庫データや販売キャンペーンの実績データからメトリクスを導き出すほど単純なことではない。記述的分析では、従業員の秘められた能力を明らかにし、成功と失敗のパターンを見極めることができる。また、予測的分析は、今後のチームプロジェクトに適任の従業員を上司が選ぶ際の助けになる。
だが、データが不適切なら、その価値はなくなる。
人間の能力を見極める場合、何を尺度とするかも大事だが、どのように測定するかによっても最終判断に大きな違いが生まれる可能性がある。例えば、上司が部下の能力を評価する場合、どうしても主観的になる。それ自体はじっくりと考えて評価を下せるため、悪いことではない。だが、上司の評価によって集めた能力データは、その時点で起こっていることだけを捉えているため、静的かつ相対的になることが非常に多い。従業員の能力を10点中7点と評価したところで、その従業員について何かが分かるわけではなく、組織にとってもほとんど価値はない。
人事部門でのメトリクス分析の場合、この主観的評価に別の視点を加えると、その有用性が非常に高まる。上司が部下の能力評価に潜在能力のスコアを加味して統合2軸計測の形にすれば、分析におけるメトリックの価値は飛躍的に高まる。能力は低くても潜在能力が高い従業員にはメンタリング、能力は高くても潜在能力が低い従業員にはトレーニングと、それぞれ異なる対応が必要だ。このようなメトリクスを分析すれば、より重点を置いて効果的なメンタリングプログラムやトレーニングプログラムを従業員全体に実施できるようになる。さらに人事部門は、現職では能力を発揮できていないが、ポジションを変えれば頭角を現すかもしれない従業員を特定できる可能性がある。
これまでの従業員の能力評価には、定量的尺度の比重が大きかった。そのため、営業担当者、組み立てラインの作業者、配送員たちは、自身が達成した数値に一喜一憂することになる。だが、これまでのメトリクスでは、生産性データが上下する原因をリアルタイムに分析できる洞察は全く得られない。企業にとってはこうした情報こそ本当に必要になる。
記述的分析では、他の静的メトリックを強めることで、違いを生むことができる。例えば、1年を通じてほぼノルマを達成していた営業チームが、全体的に数値を落としたとする。この場合、上層部は営業部長に対してチームの業績低下についてトップダウンで話すこともあるだろう。だが、人事部門によるメトリクス分析であれば、個人の能力がグループの能力にどのような影響を与えているかを明らかにすることができる。
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